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大人のADHDは時間感覚がない?時間感覚が安定しない理由と3つの対策方法を紹介!

ADHD 時間感覚

この記事では、大人のADHDの時間感覚についてお伝えします。

結論、ADHDの人は、時間感覚が安定しません。

その結果、ADHDの人は遅刻をしたり、時間が経つのが遅いとイライラ…。

記事の前半では、なぜADHDの人が時間感覚が無いのかについて解説します。

後半では、時間を把握するための3つの対策を紹介!

ADHDの方が、今よりも計画的に生活を送れるようになります。

是非最後までチェックしてください。

この記事を書いている人

臨床心理士。現在メンタルクリニック及びカウンセリングルーム室長として勤務。スクールカウンセラーや児童福祉施設にてサポート経験あり。年間1200件以上のカウンセリングでは、発達障害者の支援には定評あり。日々の生活ではADHDの息子に振り回されながら生き延びています。

 

【まず結論】ADHDの人は時間感覚がない!

まず結論からお伝えすると、ADHDの人は、時間の感覚が状況により違って感じます。

ADHDの人は、時間が経つのが遅いと感じたり、早いと感じたりするんです。

定型発達の人でも、楽しいことをやっていれば短く感じますよね。

つまらないと感じたら時間が長く感じるでしょう。

ただADHDの人は、定型発達の人以上に、時間感覚が安定しません。

そのため、日常生活で難しさを感じやすくなります。

次の章では、ADHDの人の時間感覚を2つのタイプに分けて紹介していきますね。

 

ADHDの人の時間感覚は2つのパターンが混ざっている

時間感覚の2パターン

・時間の経過がゆっくり感じやすい

・あっという間に時間が過ぎると感じやすい

ADHDの人の時間感覚は上記の2点です。

ADHDの人は、遅いと感じたり早いと感じたりします。

それぞれのパターンについて紹介しますので、自分に当てはまるか確認してみましょう。

ADHDの時間感覚①:時間の経過がゆっくり感じやすい

ADHDの人の時間感覚の1つ目は、時間を遅く感じやすいことです。

ADHDの人は、実際の時間よりも時間経過が遅く感じます。

認知神経科学者カチャ・ルビアの研究によると、ADHDの子どもの時間感覚は、定型発達の子よりも時間がゆっくり感じやすいようです。

実際の10秒は、ADHDの子には7秒ぐらいだと感じられます。

この研究は子どもを対象にしていますが、大人のADHDも同様なんです。

時間が遅く感じると、つまらない時間が余計に長く感じるということですね。

 ADHDの時間感覚②:あっという間に時間が過ぎると感じやすい

ADHDの人の2つめの時間感覚として、時間の経過が早すぎると感じることです。

先ほど紹介したパターンと全く逆ですね。

ADHDの人は、過集中するという特性があります。

過集中とは、自分の興味関心に没頭し、周りの情報が全く入らなくなります。

 

例えばこんなことはありませんか?

・スマホを見ていたらあっという間に3時間

・電車で本を読んでいたら、目的地を通り越してしまった

・寝よう寝ようと思っても、気づいたら夜中の2時

気付いた時には、大事な用事をすっぽかしてしまい怒られたことがある方は多いのではないでしょうか。

定型発達の人も、「楽しいことは早く過ぎ、つまらない時間は長い」と感じます。

ADHDの人は時間感覚のズレと、ADHDの特性(過集中)が重なりやすくなります。

その為、予定通りに行動が出来なくなってしまいます。

 

ADHDの人の時間感覚がない理由とは?ドーパミンが影響しています

ADHDの人が時間感覚を持ちにくい理由のひとつは、ドーパミンです。

米国デューク大学の研究によると、時間感覚の歪みは、脳内にある大脳基底核に原因があることを突き止めました。

大脳基底核は、ドーパミンによって身体の動きをコントロールする場所です。

研究の中で分かったこととして、

・ドーパミンが少ない時は、時間がゆっくり感じる

・ドーパミンが多い時は、時間が遅く感じる

の2点があります。

ADHDの原因は現時点では明確に分かっていませんが、生まれつき脳の機能に障害があるのではないかと考えられています。

神経伝達物質にはノルアドレナリンやドーパミンなど意欲や興奮に関わるものや、セロトニンなどの抑制性に関わるものもあり、ADHDの方はこの神経伝達物質の量が少ないことが原因で、正常に情報が伝えきれていないのではないかと考えられています。

たわらクリニック

ADHDの人はドーパミンが不足している為、時間をゆっくりと感じやすくなります。

ただ、それだと退屈でしんどくなってしまいます。

その為、新しいことや危険を冒すことで、脳内のドーパミン量を増やしています。

ADHDの人が時間感覚が無いのは、ドーパミンが影響していることが科学的にも証明されている事実なんです。

 

ADHDの人は時間感覚がないことで困りやすい場面を5つ紹介!

ADHDの人が困る5つの場面

・予定の時間に間に合わない

・夜更かしをしてしまう

・課題を先送りしてしまう

・やらなければいけないことが出来ない

・いつも焦っている

 ADHDの人が困りやすい場面は上記の5つです。

ADHDの人は、時間感覚が上手につかめず、日常生活で困ってしまいます。

例えば、時間の約束。

子どもの時だったら、多少遅れても許されるかもしれません。

しかし、大人になって毎回遅刻をしたら、相手からの信用も失ってしまいます。

さらに、必要な書類まで忘れてしまったら、取り返しがつかないなんて事も…。 

ADHDの人は、感覚だけを頼りに行動すると、失敗に繋がりやすくなります。

 

ADHDの人が時間感覚を安定させる3つの改善策を紹介します!

時間感覚を安定させる3つの改善策

時間感覚を安定させる改善策①:大自然の中で過ごす

時間感覚を安定させる改善策②:薬の力を借りる

時間感覚を安定させる改善策③:タスクの必要時間を把握する

ADHDの人が時間感覚を安定させる改善策は、上記の3つです。

大自然の中で多くの刺激に触れたり、薬の力を借りたりすることで、ADHDの人のドーパミンの量は安定します。

ここでは、時間感覚を安定させる改善策をひとつずつ紹介するので、失敗続きの毎日を変えていきましょう!

 

時間感覚を安定させる改善策①:大自然の中で過ごす

ADHDの人が時間感覚を安定させる改善策の1つ目は、大自然の中で過ごすことです。

イリノイ大学によると、緑の野外スペースで過ごした子どもはADHDの症状が和らいだという研究結果を発表しています。

また、同じように緑の中で過ごしたADD(不注意有意型)の子の症状も緩和されたようです。

自然には、穏やかで多様な刺激があります。

小鳥のさえずりや、川のせせらぎなどの刺激は、「1/fゆらぎ」と呼ばれ癒し効果があることが分かっています。

ADHDの人が大自然の中で過ごすと、ドーパミンが安定し、時間感覚が安定するでしょう。

大自然の癒し効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参照してみてください。

うつ病の治療に焚火が効果的な3つの理由【家でも出来る方法も紹介】

時間感覚を安定させる改善策②:薬の力を借りる

ADHDの人が時間感覚を安定させる2つ目の改善策は、お薬の力を借りることです。

先ほども紹介しましたが、ADHDの原因のひとつに、脳内のドーパミンレベルが低いことが原因と考えられています。

その為、ドーパミンを安定させることで、ADHDの症状を軽減していけます。

海外の研究からも薬による時間感覚を改善できる効果が実証されているようです。

ADHDの治療薬として使われるメチルフェニデートは、ドーパミン(脳における神経伝達物質の一つ)の不足を補う物質だが、それらが作用するのは前頭前野・小脳・線条体といった時間知覚とも関連が深い領域である(Rubia et al 2009)。

「時間感覚の障害」としてのADHD―時の流れを歪ませるのはドーパミンだった?

このように、ADHDの薬は時間感覚を改善する可能性があることが分かっています。

時間感覚を安定させる改善策③:タスクの必要時間を把握する

ADHDの人が時間感覚を安定させるための最後の改善策は、タスクの時間を把握することです。

これまでに紹介したように、ADHDの人は、時間の感覚がずれやすい障害です。

10分ぐらいで終わる書類が、結局30分かかるなんてザラ。

ADHDの人は、自分のイメージと現実にギャップが生まれます。

その為、ADHDの人は、タスクにかかる時間を知っておくのが大切です。

 ひとつの方法として、毎日の作業時間を計るのが良いですね。

①1時間で出来るタスクを書き出す。

②それぞれに必要な時間を書いてみる

③実際にかかった時間を計り、記入する

④イメージと現実のギャップを確認修正

 頭の中のイメージを、現実に落とし込む作業です。

作業時間が分かってくれば、達成可能な計画表が作れるようになります。

ADHDの人は、自分に合った計画表を持てれば、遅刻をしたり、暇な時間を持て余すなんてことが減るでしょう。

ADHDの人が利用できる「時間管理法」は別の記事で詳しく紹介しています。

もし具体的な管理方法を知りたい方は、そちらの記事を参考にしてください!

ADHDの人は時間管理が苦手?難しい理由や7つの改善方法を臨床心理士が完全解説!

 

大人のADHDの時間感覚についてまとめ

この記事の内容

・ADHDの人は、時間感覚が安定しない

・時間感覚には脳内のドーパミンが影響している

・時間感覚が無いと遅刻をしたり暇を持て余す

・時間感覚の改善には大自然の中で過ごすのもあり

・タスクの時間を把握出来ると計画的に行動しやすい

以上の内容をお届けしました。

ADHDの人は、時間感覚が安定しないことが生活の支障に繋がります。

紹介した改善策を上手に利用して、ゆとりを持った生活を送ってくださいね!

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