プロフィール

プロフィール 海の彼方

 

「俺は催眠術師になる。30代でマスターして、40代で日本。そして将来は世界を征服してやるぞ」

 私が20代最初の頃に、オーストラリア留学中に決意した夢。

 一緒に話をしていた、オーストラリア人、マレーシア人、インドネシア人・・それぞれの国は友人たちが制覇し、皆で世界征服しようぜ・・・そんなことを言いながらお酒を飲んでいました。

 当時、催眠術師になるにはどうすれば良いのかも分からず、学校の先生に聞くと、心理学を勉強すると催眠術を勉強できると知り、オーストラリアの大学で心理学を勉強したのが心理との出会いでした。

 しかし、当時の私は、志は高いようでしたが、世界征服をする目的も無く、ただ楽して生活をしたいということばかりを考えていました。だから当然勉強もほとんどせず、遊んでばかりだったので、大学は結局中退。その後、福祉関係の専門学校を卒業し、1年近くオーストラリアとアジアを放浪。日本に帰国したのは、25歳の冬でした。

 その後私は、母子家庭の人が生活する母子生活支援施設で、相談員として働いていました。相談員とは名ばかりで、やっていたことは子供たちとサッカーや野球をして、夏休みにはキャンプやイベントを企画して、ただただ遊ぶことばかりの毎日でした。

「こんな毎日遊んでばかりでお給料貰っていていいのかな?」

 そんなことを考えながらも、あまり将来のことは考えずに数年間そこで過ごしていました。

 当時私が施設で関わっていた中学生の男の子がいました。離婚した父親からかなりの暴力を受けていた、いわゆる被虐待の過去がある子でした。私を慕ってくれていたし、私も彼のことを可愛がっていました。

 しかし、あることがきっかけで、彼との関係は決裂。今考えれば、彼が父親に対して抱いていた怒りの感情を私にぶつけてきたのだろうと理解できるのですが、当時の私にとっては、「これほど目をかけていたのに」と悔しい想いと共に、彼のことが分かっているつもりだったのに、全く分かっていないことへのショックが大きかったです。

 その事件がきっかけとなり、私はその先自分がどうしていきたいのかと悩みました。そして、改めてちゃんと心理学の勉強しようと考えて、その職場を退職。夜間大学の心理学部に進学し、昼間はアルバイト、夜は大学生として勉強をする生活が始まりました。

 私は、既に30歳になっていました。

 大学4年間を卒業し、そのまま夜間の大学院に進学した私は、36歳の時に晴れて大学院を卒業。翌年には臨床心理士の資格を取得し、心理の専門家として働いていくこととなりました。

 20代の時に描いた自分の大きな理想とは違い、リアルに人と関わっていくことが、これほどまでに難しいことなのかと思い知ることばかり。自分の無力感に苛まれ、そして、自分の驕った考え方と向き合うことは、(今でもそうですが)自己嫌悪に陥ってしまいそうな気持になることが多かったです。

 私は福祉分野から医療分野へシフトし、大学院卒業後からメンタルクリニックにて働いています。メンタルクリニックでの臨床心理士としての仕事は、初めて来院される人の面接をしたり、心理検査やカウンセリングをしたり。時には、入院対応や福祉事務所や学校との連絡調整をしながら、患者さんの支援を行うことがメインとなっています。

 日々変化が起きるメンタルクリニックでの仕事は、とても大変であると共に、やりがいを感じる仕事だなと今でも感じています。

 

 現在は、メンタルクリニックだけでなく、併設するカウンセリングルームの室長という立場を任され、年間1000件以上のカウンセリングケースを持っています。

 ただ、メンタルクリニックやカウンセリングルームに来られる人の多くは、初めてメンタル不調を起こし、どうしてよいのか分からずに路頭に迷い、やっとの思いで治療に繋がった方が多いなと感じました。メンタルの不調があるせいか、ネガティブな考え方が強かったり、考えが十分に整理できないといった理由もあるのでしょうが、メンタルクリニックやカウンセリングといった場所への抵抗を持っている人も多いなと感じました。

「もっと早くに来ていればよかった・・・」そんな風に語る患者さんが多くいらっしゃいます。私も同じように、もう少し早いタイミングで治療に繋がっていれば、これほどひどくなることは無かったのではないかとも考えることが多かったです。

 そこで、私が培ってきた、メンタルクリニックの事や、カウンセリングについて紹介をしたいと思って、このブログを書き始めました。特に、これから通院を考えている人や、通院して間もない人が、疑問に感じたり、つまづきやすい点を中心に情報提供をしていけたらと考えています。

 当事者の立場からメンタルの不調や回復について書いてある有益なブログも多くあります。そのような治療体験を知ることで、学びの機会になることも多いと思います。

 私はどちらかと言えば、数多くの患者さんとの面談や経験を通して得られた知識や経験を、心理学視点から分かりやすく説明することで、これを読んでくださる方が少しでもヒントが見つかり、その方がより生きやすい生活を送ることのお手伝いが出来たらと願っています。

 

 ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。毎日記事を更新していきます。もしご参考になれば幸いです。

 

2020年5月20日

上杉哲也

 

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