ADHD

ADHDの伝え方【本人・まわりの人への説明を臨床心理士が徹底解説】

ADHD告知

 

子どもに障害があると知ったら、あなたはどうしますか?

まずは親自身が、障害を受け入れる必要がある。

これは、時間をかけて出来ます。

ただ、本人には、どのように説明していったら良いでしょうか。もしかしたら、ショックを受けてしまうのではないか。自暴自棄になってしまうのではないか。マイナスなイメージが膨らむかもしれません。

 

私も迷いました。ただ、伝えることは避けられないとも。

 

この記事では、子どもがADHDだと分かった時、どのように本人や周りに説明するのが良いのかについて解説します。親として子どもに説明するのは難しいもの。タイミングや時期などお子さんの年齢に合わせて行うことが大切です。

 

この記事を読んで、伝え方のヒントをご両親でシェアしてみてください。

 

この記事を書いてる人


精神科クリニック勤務の臨床心理士。児童相談所の相談員、スクールカウンセラーなどを経験。現在小学校2年生のADHDの息子を含む2人の子どもと日々格闘中(1勝99敗)。

 

本人にADHDの診断を伝えることの意義

伝えることの意義

本人に診断を伝える目的は、自分のことを知るため。

 

長所や短所がある自分に気づき、自分とうまく付き合いながら、前向きに生活をすることが出来るように。

発達障害を抱えている子は、特に集団生活の中で困ることが多い。ひとりで騒いでしまったり、自分勝手な行動を取ってしまったり。まわりから冷たい態度を取られたり、注意をされる場面があります。

このような場面が繰り返されると、本人は自信を失い、「どうせ私はダメだから…」となってしまいます。

 

けれど、しっかり自分の特性について知り、今後どうしたら良いのかが分かれば、対処が出来ます。時には周囲に相談をしたり、出来ないことはお願いする方法もあります。

 

自分のことを知るのは、決してマイナスではなく、プラス方向に向けていく為の手段です。

 

本人にADHDを伝えるタイミング

ファミリーキャンプを楽しもう

診断を伝えるタイミングは、ケースバイケースになるでしょう。

幼少期から診断が付いている場合には、学童期にはお話が出来るでしょう。発達障害の診断をされるのが中学生や高校時代になる子もいます。

「本人に障害を告知したら、悲しむのでは…。」と考えて、言わない選択をするのはマイナスです。

 

診断を伝えることの意義は、本人を悲しませるためではなく、明るい未来を一緒に作っていく為のスタートです

 

ここでは、小学校低学年のパターンと、中学生以降のパターンを紹介します。

 

小学校低学年の子に、発達障害について伝える場合

小さい頃に発達障害の診断が下りていたり、小学校に入ったタイミングで学校生活がうまくできず、病院に通って診断が下りるケースがあります。まだ言葉も十分に発達していないので、理解が追い付かない可能性もあります。

本人が分かるような方法で伝えるには、3つのポイントがあります。

 

分かりやすい言葉で、簡潔に

ADHDのお子さんは、人の話を聞くのが苦手。そもそも長い話を聞くのも難しいでしょう。

長々と説明するのではなく、簡潔に伝えるのが大切です。

イラストや本などを見ながら分かりやすく説明するのも良いでしょう。

 

困っている状況を具体的に伝える

ADHDのお子さんは、学校の中で問題行動が目立ちやすいのが特徴です。ふらふら立ち歩いたり、先生の話を聞けずに自分勝手な行動をしたり。友達と喧嘩に発展することで、先生から注意をされる場面も多いでしょう。

本人がうまくいかない状況を伝え、「頑張って直そうとしてもうまくいかないのは、もともとの障害が影響しているんだよね。」と説明をします。

本人が甘えている訳でも、努力が足りないわけでもないと伝えましょう。

 

どうすればよいか提案をしましょう

本人に、改善方法を考えさせるのは難しいです。もっと障害のことを理解してきたら出来るでしょう。

まずは、大人が環境を作ってあげることが大切です。

薬を飲む・通級に通う・家の中の環境を整えるなど方法はたくさんあります。

 

ひとつひとつは、あなたが過ごしやすくするための方法だと伝えてあげましょう。

実際にやり始めてから、お子さんの気持ちも聞きながら修正は可能です。

最初は親や先生が、その子にあった環境づくりをしてあげましょう。

 

中学生以降に、発達障害を伝える場合

中学生以降になると、将来の進学を考えるタイミングになります。

障害特性がある子にとって、困ってしまった体験は多かったでしょう。お子さんの特性にもよりますが、言葉で説明をしたり、気持ちを伝えられるお子さんもいます。

 

中学生に伝えるには、3つのポイントがあります。

 

診断名だけでなく、障害の特徴や背景についても説明する

診断名や、その特徴を分かりやすく伝えます。その際に、本人の理解度に合わせた言葉選びは大切です。

「衝動性がある → じっとしていられず、順番をまっていられない。」

「不注意がある → 授業中に、勉強以外のことばかり考えて集中できない。」

本人が困っている状況を例に出して説明すると、理解に結びつきやすくなります

 

本や漫画など自分で理解できる方法を提案する

中学生以降になると、親からの言葉を素直に聞けない子もいます。

逆に、本や漫画など自分のペースで理解できる方法を紹介するのもひとつです。これ読んでみたらとおススメの漫画を渡しておけば、本人のタイミングで読んで理解することも出来ます。

親も読んでおけば、共通の理解として、話し合いをする時にも利用できます。

 

※おすすめの本を紹介する。

 

将来には十分に選択肢があることを伝え、一緒に考える

子どもにとって、自分に障害があると知らされるのはツラいもの。捉え方次第では、「もう人生終わった。」と考えて、気持ちがふさぎ込んでしまう子だっているでしょう。「障害者=普通の生活は送れない」といった極端な考え方になっているかもしれません。

ただ、高校進学や大学など、今後の進路はたくさんの選択肢があります。発達障害の子の理解がある学校や、一芸を高められる専門性の高い学校もあります。これからたくさんチャレンジできる機会が待っていることを丁寧に説明してあげましょう。

また、一方的な告知だけでなく、話し合いをするのも大切です。「今聞いてみてどう思った?」など、本人の気持ちや考えを聞くのも良いでしょう。

 

発達障害を伝えてはいけない3つのタイミング

伝えてはいけない

障害を伝える時に、避けた方が良い3つのタイミングを紹介します。

 

親が感情的になっている時

何度伝えても言うことを聞かないお子さんにイライラする時があります。

子どもが同じ失敗をした時に、

 

「何度言ったら分かるの。そういうのがADHDなんだからね。」

 

と思わず言ってしまうことがあります。

感情的になっていると、どうしても頭ごなしに伝えてしまいます。

お子さんは、話の内容よりも「怒られた=自分がADHDだからだ」と認識します。

自分の障害を悪いものだと感じ、治さないといけないと考えるでしょう。

親子が落ち着いて話ができるタイミングに伝えましょう。

 

夫婦間で話し合いをせずに子どもに伝える

お子さんに障害について説明する前に、夫婦でしっかりと話し合いをするのは大切です。夫婦の間でお子さんの障害特性を理解し、今後の方針なども話し合っておく必要があります。夫婦の間で、理解にズレがあったり、今後の方針がぶれていると、お子さんも理解が難しくなります。

「パパは、大丈夫って言ってる。けど、ママはお薬を飲めって言う。どうしたら良いんだろう…。」治療や関わりの方針に、完璧な正解はありません。お子さんの状況によって変わってきます。

ご両親の考えはどちらにしても統一しておくことが大切です。

 

学校の先生や、お医者さんにお任せしちゃう

障害を伝えるのは、お医者さんにお願いすることもあるでしょう。

ただ、お医者さんからお話があったから充分でしょう…と考えるのは問題。やはり、告知をされたお子さんは、複雑な心境になります。自分はどうなっちゃうんだろう…。友達に知られたらいじめられるのでは?ネガティブなことばかり考えます。

 

親は、その後のお子さんの気持ちを察し、話をする時間を取ることが大切です。伝えるだけでなく、本人の気持ちを聞くようにすると、お子さんがマイナスに考えすぎないようになるでしょう

 

発達障害の告知:みすぎ家の場合

みすぎ家の場合

うちの息子は、小学校2年生の時にADHDと診断されました。

親としては、本人の言動を見ていて、傾向はあるだろう…と考えていました。ただ、はっきりと言われると、かなりショックがありました。

 

本人への障害告知は、少しずつ行いました。

 

最初の説明は、心理検査の結果をもらった後です。

WISC-Ⅳの結果を主治医の先生から説明をされました。

書面にまとめられた文章を元に、本人の特徴をパワーポイントにまとめ、お話をしました。

 

※パワーポイントの添付

 

本人は、なんとなく分かったような分からないような感じ。

ただ、学校でイライラしたり、授業に集中できないのは、自分の特徴としてあるんだなと感じたようです。

 

2回目の告知は、薬を飲み始める時。

この時には、ADHDと診断が下り、薬の治療を始めることが決まっていました。

主治医の先生から、薬についての説明をしてもらいました。

 

「〇〇くん(息子の名前)は、学校で落ち着かなかったり、集中できないことがあるよね。今日から出すお薬を飲むことで、朝起きた時に頭がスッキリするようになるよ。そうしたら、今よりも学校が楽しく過ごせるようになるから飲んでみようか。」と。

 

息子は、「朝起きた時にスッキリする」といった言葉が刺さったようで、前向きに薬を飲む方向で話が進みました。

 

3回目の告知は、通級指導教室の見学や体験をした後です。

 

結果、3回に分けて本人にはお話をしました。

最終的に3回目で、ADHDという言葉を使い、説明をしました。

まだ小学校2年生。理解は追い付いてはいないかもしれません。

 

ただ、何度かに分けて説明できたことは良かったと思います。

今後も、くり返し話をする機会はあるでしょう。

 

一つの参考にしてもらえたら嬉しいです。

 

兄弟にも障害告知をするのも大切

障害を持っている本人への告知も大切ですが、兄弟にも説明をするのは大切です。

兄弟に手がかかり、親が構ってあげられず寂しい思いをさせてしまうことがあります。

時には癇癪を起して暴れる兄弟に、嫌な気持ちになることだってあるでしょう。

兄弟に障害があることを説明すれば、納得できることもあります。

場合によっては、兄弟が困っている状況を積極的に手伝ってくれるかもしれません。

 

我が家の場合は、2歳上のお姉ちゃんに、弟の障害について説明をしました。

説明をする前から、なんとなくは分かっていたようです。けれど、改めて伝えられた内容には納得したようです。

また、寂しい思いをさせてごめんね…と伝えると、「うん。」とうなづく娘。

その姿に涙が出そうになりました。

 

平等にしているつもりでも出来ていなかったな…と反省し、なるべくお姉ちゃんと過ごす時間を作るようにしました。

 

本人に障害を伝えることで一歩ずつ前に進める

オンラインカウンセリングのメリットまとめ

この記事では、お子さんに発達障害の診断を伝える際のポイントについて紹介しました。年齢に応じて、気を付けるポイントは違っています。

小学校低学年の場合

①分かりやすい言葉で、簡潔に

②困っている状況を具体的に伝える

③どうすればよいか提案をしましょう

 

中学生以降の場合

①診断名だけでなく、障害の特徴や背景についても説明する

②本や漫画など自分で理解できる方法を提案する

③将来には十分に選択肢があり、一緒に考える

 

伝えてはいけない3つのパターン

①親が感情的になっている時

②夫婦間で話し合いをせずに子どもに伝える

③学校の先生や、お医者さんにお任せしちゃう

お子さんにとって、障害を知ることは時にショックになるでしょう。

しかし、自分の特徴を知れば、対処の仕方も分かります。

お医者さんや学校の先生、そして親も一緒に考えられるようになります。

より良い生活を送るためにも、自己理解を進められるきっかけになるでしょう。

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