子育ては、ストレスとの戦い。
こんな言われ方をされることがあります。
日々の食事作りから、子どもの学校準備。最近だとコロナの影響もあって、毎朝検温して…と、やることがいっぱい。さらに、子どもが言うことを聞いてくれないと、優しいママだってパパだって我慢の限界ってなりますよね。
ただイライラした気持ちを子どもにぶつけるだけでは、逆効果。
特に発達障害を抱える子どもの場合は、パニックになることだってあるでしょう。
この記事では、叱ると怒るについての違いについて説明します。後半では、発達障害の子への影響についてや、正しい叱り方についても解説していきます。
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目次
叱るのは論理的 怒るのは感情的
「叱る」とは、子どもの行動にミスやトラブルがあった時に、子どもをより良い方向に導くために行うもの。何が問題だったのか。今後繰り返さないために、どうしたらよいのか。一緒に考えて話をしていく、論理的な方法です。
一方「怒る」とは、子どもの行動に対して、親の感情をストレートにぶつける方法です。許せないって気持ちは、時に怒りの感情になります。その為、どうしても語気が強くなり、言い方が乱暴になりやすくなります。感情的な方法です。
叱るのは良くて、怒るのはダメなの?
では、どちらが適切な関りでしょうか?多くの方が、叱る方が良いのではないかと考えませんか。ほとんどの場合は、叱る方が正しいでしょう。ただ例外はあります。それは、子どもの命に関わるような行動や、他者を傷つけてしまう行為をした時です。自分や他人を傷つけるような行為は、すぐに止め、怒ることも大切でしょう。
発達障害のある子を怒ると、逆効果となります
発達障害があるお子さんを怒る時には注意が必要です。
3つのポイントで紹介します。
発達障害の子は、感覚過敏なお子さんが多く、とても怖い体験となります
発達障害のお子さんは、聴覚過敏や触覚過敏があります。
お子さんによっては、普段とは違った大きな声に恐怖を感じます。少し強く触れられただけでも、痛みを感じる時もあります。怖いと感じると、怖い感情に頭がいっぱいになってしまい、パニックになってしまう子もいます。結果、行動を振り返ることが、難しくなります。
発達障害の子は、ネガティブな感情を引きずります
発達障害の子は、一度気持ちが折れてしまうと、立ち直りに時間がかかります。なだめても効果は低く、沈んだ気持ちになったり、イライラして余計に反抗的な態度に出る子もいます。場面の切り替えが苦手なのは、発達障害の子の特徴のひとつです。
発達障害の子は、自己肯定感が下がります
発達障害の子は、どうしても叱られる場面が多くなります。学校でも家でも失敗を注意ばかりされていると、結果自信を失い始めます。「どうせ自分は出来ない…」行動の失敗として考えられず、自分がダメなんだと考えてしまいます。その結果、自己肯定感が低下し、やる気がなくなったり、出来る力があるのにチャレンジしなくなります。
発達障害のあるお子さんへの効果的な叱り方3選
発達障害があるお子さんへの叱り方として良い方法を3つ紹介します。
叱る時のテクニックはCCQ
発達障害の子には、CCQというテクニックが効果的です。
CCQ
C(Calm)=穏やかな声
C(Close)=子どもに近づいて
Q(Quiet)=静かな声で
お子さんを叱る時、どうしても感情的になってしまいがち。声のトーンが高く、まくし立てるような話し方になります。なるべく声は静かに穏やかな口調でお話をしましょう。その為にも、お子さんに近づき、目線を合わせて伝える意識が大切です。
お子さんがもし泣いたり叫んだりと興奮しているようであれば、少し落ち着くまで待ちましょう。感情的になっている時には頭に入りません。少しクールダウンをさせてからお話をすると、良いでしょう。
もう少し詳しく知りたい方は、こちらも参照してください。
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叱る時の基準は、自分と他者を傷つける時
叱るのはどんな時かをあらかじめ決めておくと良いでしょう。四六時中叱られたら、子どもも嫌な気持ちになります。もちろん、大人もシンドイですよね。
叱らないといけないポイントは2つ。
自分や相手を傷つける行為をした時
例:友達を叩いちゃう。自分の身体を叩いたり傷つけようとする。
社会のルールを守らないとき
例:赤信号なのに飛び出してしまう。スーパーの中を走り回り危険な時
叱る時には、その場で叱りましょう。時間が経つと、子どもは忘れてしまいます。過去のことを持ち出して怒ったり、子どもの言い訳に振り回されないように気を付けましょう。
叱る時は、具体的にどうすれば良いのか伝えましょう。
叱る時にやりがちなのは、
「食事中に立ち歩いちゃだめでしょ。」
「早く用意しなさい。」
「いいかげんにしなさい。」
どきっとした人も多いのではないでしょうか。これらの叱り方は、抽象的で、子どもには何をすれば良いのか分かりません。子どもに伝わるのは、怒っているらしい…という情報のみ。伝えるのは、具体的に簡潔に伝えましょう。
「立ち歩いちゃダメ」→食事中は、席に座ります。
「早く用意しなさい」→洗面所で歯を磨きなさい。
「いいかげんにしなさい」→〇時までに、△をしなさい。
具体的な正解を伝えることで、子どもは叱られないための行動が分かります。行動を少しでも始められるように、本人の能力に合わせた行動を伝えましょう。
叱ったり怒ったりするのは、褒めるとセットが大事
ここまで叱り方について説明してきました。ただ、とても大切なのは、褒めるという行為を忘れてはいけません。叱るとは、ネガティブな行動を変更しようとする行動です。子ども本人だって叱られたくはないでしょう。その時、ネガティブな行動を減らすよりも、ポジティブな行動を増やす視点が大切です。
ポジティブな行動を増やせれば、結果的にネガティブな行動は減りますからね。良い行動を促して、出来たときにほめる。この繰り返しで、なるべく叱る・叱られる時間を減らしていきましょう。
叱ると怒るの違いを使い分け、発達障害の子の成長を育てよう
この記事では、叱ると怒るの違いについて説明しました。
発達障害の子には、定型発達の子と比べて、感覚過敏や感情の切り替えの難しさなどがあります。その為、叱り方についても少しテクニックが必要なことが分かっていただけたかと思います。
CCQや叱る範囲や方法などを意識することで、子どもの行動がみるみる変わっていきます。お子さんがこれから先困らないようになって欲しいのが、親としての願いです。
これを機会に、お子さんへの関わり方を考えてみるのはいかがでしょうか。