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ADHDの人が返事をしない理由は?子どもから大人まで使える対策も合わせて紹介!

ADHD 返事をしない

この記事では、ADHDの人が返事をしない理由についてお伝えします。

ADHDの人が返事をしないのは、あなたのことが嫌いだからではありません。

ましてや、意地悪をしているつもりもありません。

ADHDの人は、大人から子どもまで返事が苦手な人が多くいます。

ここでは、ADHDの人が返事をしない5つの理由と、その対策方法を紹介します。

ADHDの人ともっと上手に関わりたい方は、この記事を最後までチェックしてくださいね!

 

この記事を書いてる人

精神科クリニック勤務の臨床心理士。児童相談所の相談員、スクールカウンセラーなどを経験。ADHDの息子を含む2人の子どもと日々格闘中(1勝99敗)。

 

ADHDの人が返事をしない5つの理由を紹介します!

返事をしない5つの理由

①何かに没頭して気付いていない

②自分に言っていると思わない

③周りの音と声の区別が難しい

④知り合いだと認識していない

⑤なんて言えば良いのか分からない

 

ADHDの人が返事をしない理由は上記の5つです。

ADHDの特性として、何かに没頭していたり(過集中)、なんて言えば分からない(ソーシャルスキルの低さ)などが関係しています。

返事をしない理由に1つずつ紹介していきますので、対策を立てる前に必ず確認しておきましょう。

 

ADHDが返事をしない理由①:何かに没頭して気付いていない

ADHDの人が返事をしない理由の1つ目は、何かに没頭して気付いていないからです。

ADHDの人は、自分の興味関心があるものに全集中します。

周りの声だけでなく音や視線なども気になりません。

その為、もし周りから声をかけたとしても聞ける状態ではない可能性があります。

その為、「返事をしない」というよりも、「聞こえていない」の方が正しいかもしれません。

 

ADHDが返事をしない理由②:自分に言っていると思わない

ADHDの人が返事をしない2つ目の理由は、自分に言っていると思わないからです。

ADHDの人を含む発達障害の方は、全体指示が入りづらい傾向があります。

どこか上の空だったり、自分に向けて言われているという認識が薄くなります。

その為、自分に向けて声をかけていると分からずにスルーしている時もあるでしょう。

「ちょっと聞いてる?」と聞いてみると、聞いていないなんてことも…。

ADHDの人は、自分に言われていると思っていないので返事をしていないこともあるでしょう。

 

ADHDが返事をしない理由③:周りの音と声の区別が難しい

返事をしない理由の3つ目は、周りの音と声の区別が難しいからです。

ADHDの人は、音に過敏に反応する方がいます。

想像するのは難しいかもしれませんが、エアコンの音や、時計の音などが大きく聞こえてしまいます。

多くの方は、必要な音以外は、小さく(またはぼんやり)と聞こえるでしょう。

しかし、ADHDの人は、どの音も同じ音量で聞こえてしまう特性があります。

その為、周りの音との区別が出来ず、あなたの声は届いていないのかもしれません。

 

ADHDが返事をしない理由④:知り合いだと認識していない

ADHDの人が返事をしない理由として、知り合いだと認識していないからです。

発達障害の人の中には、何度もあっているはずなのに相手を特定できない人がいます。

その為、挨拶をしてくるあなたが誰だか分かっていないのです。

うちのADHDの息子は、保育園の先生を保育園の中では分かりますが、外で会うと誰だか分からなくなります。

その為、声をかけられても、「誰だこの人?知らない人だから話すのは止めよう」と考えます(知らない人に声をかけられても話さないように指導されています)。

相手がマスクをしていれば尚更分かりづらいようです。

ADHDの人が返事をしないのは、相手があなただと分かっていない可能性もあるでしょう。

 

ADHDが返事をしない理由⑤:なんて言えば良いのか分からない

ADHDの人が返事が出来ない5つ目の理由は、なんて言えば良いのか分からないからです。

相手からの言葉かけに、どういったリアクションを取れば良いのか分からず、スルーしてしまいます。

ADHDの息子を例にします。

うちの息子が相手からの挨拶に返事をしない理由を聞くと、「なんて言えば良いのか分からない。」と言います。

「おはよう」が良いのか、「こんにちは」が良いのか。

選択肢が多くて分からないということでした。

「何時から何時までが、おはようなの?」と聞かれ、私も言葉に詰まってしまいました。

結局、自分から挨拶は難しいので、「相手が言った言葉を繰り返す」という方法に落ち着きました。

大人になると、社会性を身につけて問題になりにくいでしょう。

しかし、ADHDのお子さんの場合は、社会的なスキルが身についていないので、返事をしないことが起きやすいでしょう。

 

ADHDの人が返事をしない時の3つの対策をお伝えします!

返事をしない時の3つの対策

①近づいて名前を言う

②静かな場所でゆっくりと話す

③返事の仕方を教える

 

ADHDの人が返事をしない時の対策は上記の3つです。

近づいて名前を言ったり、静かな環境を用意したりと、具体的な対策方法はあります。

ADHDの人とより良いコミュニケーションを取るための方法になりますので、ひとつずつ確認していきましょう。

 

返事をしない時の対策①:近づいて名前を言う

ADHDの人が返事をしない時の対策の1つ目は、近づいて名前を言うことです。

ADHDの人が返事をしない理由として、あなたの話が届いていない可能性についてお伝えしました。

その為、しっかりと届けるためには、近づいて相手の名前を呼ぶことが大切です。

目線が合っていないと聞いていない(聞いても忘れてしまう)ので、しっかり目線を合わせることを意識してみましょう。

 

返事をしない時の対策②:静かな場所でゆっくりと話をする

返事をしない時の2つ目の対策は、静かな場所で話をすることです。

ADHDの人の中には、沢山の音から、あなたの声を聞き取るのが苦手な方がいます。

居酒屋さんやイベント会場など、多くの音や声がする場面は避けましょう。

なるべく外からの音が聞こえない静かな環境の方が、ADHDの人にとっては声をキャッチしやすくなります。

また、早口でまくし立てるようには伝えず、落ち着いたトーンでゆっくり、はっきりとした口調で話しましょう。

声のトーンが大きかったり早口だったりすると、ADHDの人は怒られているような気持ちになります。

話が入りづらくなるので、なるべく静かな環境でゆっくりとお話をしましょう。

 

返事をしない時の対策③:返事の仕方を教える

返事をしない時の対策の3つ目は、返事の仕方を教えることです。

先ほども説明しましたが、ADHDを含む発達障害の人は、社会的なルールや常識などが十分に育っていない場合があります。

周りからは「そんなことも知らないの?」と言われそうな日常のスキルがADHDの人には無いので、非常識な人と思われてしまう場面があります。

返事の仕方もその1つ。

ADHDの人に、返事の仕方を教えてあげましょう。

小さい頃なら学校の先生や、通級指導教室で学ぶ機会があります。

しかし、大人になると「出来て当然」と思われてしまいます。

もし、ADHDの人が返事に困っているようなら、どんな風に返事をすれば良いのかを一緒に考えたり、お伝えしてくださいね。

 

ADHDの人が返事をしないことについてまとめ

この記事のまとめ

・返事をしないのは、意地悪をしている訳では無い

・ADHD本人に届いていない可能性あり

・相手はどう返して良いのかわからない

・目の前に立って名前を言ってから話そう

・ゆっくり落ち着いた口調で伝えよう

 

上記の内容をお伝えしました。

ADHDの人は、人との関わりでトラブルになりやすい傾向があります。

ADHDの人が返事が出来ない理由と対策を、当事者はもちろん、周りの人も知っておきましょう。

今までよりもお互いが良好な関係を築けるはずです。

是非良い話し合いのきっかけにしてくださいね。

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