そんな悩みを解決する記事です。
なぜなら、私は現在スクールカウンセラーとして10年以上働いています。
たくさんの子どもたちや親と関わる機会があるのです。
この記事の前半では、子どもがイライラしている4つの理由を解説します。後半では、効果的な対応方法を4つのステップて紹介します。
この記事を読めば、イライラ息子さんが、やさしい息子さんに変わっちゃいますよ。
こんな方におすすめ
- イライラしている子どもを理解したい方
- イライラしている子どもの対応を知りたい方
この記事を書いている人
メンタルクリニックと小学校で10年以上臨床心理士・公認心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くの患者さんの治療に携わる機会があります。小学校では、不登校・いじめ・発達障害などの相談を受け、親御さんと一緒に考えることを続けています。今回の質問についてお答えすることが出来るでしょう。
なぜ子供はイライラしてるの?
- 自分中心の考え方をする
- 自分の気持ちを理解してない
- 自分の考えを言葉で表現できない
- イライラを落ち着かせる方法をしらない
それぞれ説明していきますね。
自分中心の考え方をする
イライラの理由は「自分の思い通りにならない」からです。
遊びたかったおもちゃで遊べない
やりたくない宿題をやらされる
面倒な風呂に入れと言われた
思い通りにならないことなんて、普段の生活にはたくさんあるでしょう。
親からしてみれば、当たり前のことですし、
怒る方がおかしいとさえ考えますよね。
しかし、子どもは基本的に自己中心的に考えます。
自己中心的とは、自分の考えが優先されるだけでなく
相手の気持ちを理解したり
その場の状況を客観的に捉える力もまだ未熟です。
心理学者ピアジェは、成長段階ごとに「自己中心性」を研究しています。
6歳(小学校1年生)頃までを「前操作段階」とし、この頃までは自分中心な考えが強いとされています。
年齢を重ねていく中で、少しずつ状況判断、相手の気持ちを理解することが出来るようになります。
しかし、子どもの成長は段階では自己中心性はあります。
成長段階の途中であると大人が理解することが大切です。
自分の気持ちを理解していない
イライラの背景には、自分の気持ちを理解出来ていないことも関係しています。
なんだかもやもやする
説明しても分かってもらえない
どうせ俺が悪いんでしょ
イライラの感情は、表面的なものです。
つまり、イライラの背後にはたくさんの気持ちがあります。
お母さんは構ってくれないから、さみしい
友達と喧嘩した。明日どうしよう(不安)
先生に怒られた。自分のせいじゃないのに(悲しい)
裏の感情をちゃんと分かることが出来ず、ぐちゃぐちゃした感情が、もやもやになっています。
だから、なんか分からないけどイライラするとなるんですね。
自分の考えを言葉で表現できない
言葉で表現することに限界があります。
語彙がすくないことも1つですが、
表現が事実ばかりになるからです。
子どもの作文を見ると分かると思います。
今日は朝ご飯にトーストを食べました。パパが休みだったので、一緒に公園で野球をしました。妹はママと買い物に行きました。夜ご飯は、家族でラーメン屋さんに行きました。楽しかったです。
最後の「楽しかったです」以外は、全て事実のみ。
やったことは分かりましたが、楽しかっただけしか気持ちは分かりません。
どんなところが一番楽しかった?
野球から帰ってきた時イライラしてたけど、どうしたんだろ?
色々と質問をしたくなりますよね。
けれど、聞いても「ん?忘れた。」と。
なんだか、心配しているこちらがバカみたい。
実はこころの底では感情が動いています。
けれど、言葉にできないので、面倒くさくなったり、分からないからと諦めてしまうことも多くなります。
表現できる言葉を獲得していないのも、イライラを表現できない一つの理由になります。
イライラを落ち着かせる方法をしらない
子どもがイライラして暴れたり、物を投げたりすることがあります。
親はその行動を止めたいから、
物を投げるのはやめなさい
妹を叩くのはやめなさい
その口の利き方はなんだ。しずかにしなさい。
などと伝え、その行動を止めることに必死になります。
しかし、子どもはまだ、自分の気持ちをコントロールする方法を知りません。
知らないので、止めようにも止められないのです。
もしかしたら、こうすれば良いと伝えたこともあるかもしれません。
けれど、実践出来ていないのは、ちゃんと分かっていないのです。
本人のものになっていないので、冷静に考えれば分かっていることも、頭に血が上っている状態では考えることが出来なくなってしまいます。
イライラを落ち着かせる方法をもっと学習する機会が必要になります。
イライラしている子への対応を4ステップで紹介
対応4つのステップ
- イライラしている本人を落ち着かせる
- イライラの原因について話を聴く
- 一緒にイライラの対処方法を考える
- イライラをコントロールしている頑張りを見つけて褒める
ステップごとに説明しますね。
ステップ1:イライラしている本人を落ち着かせる
イライラしている本人に向かって怒鳴ったり注意をすることは、火に油をそそぐ行為になります。
その場では落ち着くこともありますが、イライラが長続きするからです。
とにかくまずは、イライラが収まることを優先させましょう。
一番良い方法は、「放っておく」です。
まずは本人に関わらず、放っておきます。
何も刺激を与えずに、見守る姿勢でいましょう。
その際のポイントして
✅ 危険なものが周りに無いかを確認する
✅ 自分自身もクールダウン
✅ 目安は約10~15分まで
刺激を与えずに自分一人でクールダウンできるようになることを目指します。
最初は難しいかもしれません。
いきなり出来なくても大丈夫です。
この後の話し合いで、「どうやったらクールダウンできるか」を子どもと一緒に考えます。
まずは大人も一緒にクールダウンして落ち着いて話し合いが出来る準備をします。
10~15分は目安です。一般的には感情の高まりは、時間の経過と共に収まってきます。
アンガーマネージメントでは、怒りのピークは6秒と言われています。
ただ実際には6秒でクールダウンは難しいでしょう。
徐々にクールダウンの時間を短く出来るようにしていきましょう。
こちらの記事も参照してみてください。
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ステップ2:イライラの原因について話を聴く
少し落ち着いてきたら話を聴きます。
ここでは子どもの主張を聴くことを優先させましょう。
自分がやろうとしているに先に言われた
妹が勝手に俺のおもちゃで遊んだ
ゲームの充電が切れていて遊べない
子どもの主張を聴いていると、どうでも良いと思えることもあります(その方が多いかもしれないですね)
何度も言っているのにまだ分からないのか!と思ってしまうこともあります。
けれど、ここで、
「だから前から言ってるけどさ・・」
「それはちょっと誤解だよ。妹は・・・」
などと本人が話をしている時間を奪ってはいけません。
ここはぐっと我慢の時間です。
話の聴き方のポイントは
✅ 事実をそのまま伝え返す(こういうことをされたんだね)
✅ 気持ちをそのまま伝え返す(それが嫌だったんだね)
✅ 頑張ろうとしていたポイントを伝える(最初は我慢していたんだね)
この時間が、最も大切な時間です。
次に紹介する「対応方法を一緒に考える」よりもです。
しっかり時間を取ることがポイントです。
ここで、話を聴いてもらえることで、子どものイライラはある程度収まります。
どちらかと言えば、本来あっただろう別の感情(悔しい・悲しい)が残っている状態です。
話をすると落ち着くんだと知る
子どもは親からちゃんと話を聴いてもらえる体験をすることは大切です。話をすることで、気持ちがクールダウンできると学習できるからです。自分の気持ちに気づいたり、それを言葉にすることが少しずつ出来るようになっていきます。
ステップ3:一緒にイライラの対処方法を考える
子どもと一緒に、今後イライラした時の対処の仕方について考えます。
ここで「一緒」と書いたのは、親からの一方的な説教にならない為です。
参考として、大人の例で考えると、
会社の上司から、一方的に言われ指導される。
会社の先輩が、一緒に解決策を考えてくれる。
どちらかと言えば、会社の先輩との時間の方が、居心地は良さそうです。
次に同じようなことがあっても、上司より先輩に相談したくなりますよね。
子どもも同じです。
どうしても指導的になってしまいますが、あくまで「一緒に」という姿勢は重要です。
対処方法を考えるポイントとして
✅ 繰り返し同じ方法を伝える
✅ 本人がやれていることを伸ばす
✅ 本人が好きなものを考える
1つ1つを深掘りして説明しますね。
繰り返し同じ方法を伝える
繰り返し同じことを伝えることは大切です。
「壊れたレコード理論」という心理学的な手法の1つです。
ただただ繰り返し同じことを伝えます。
「ゲーム終わってから宿題やるよ」
「宿題を先にやります。」
「どっちからだって一緒じゃん」
「宿題は先にやります」
「疲れてるし、お風呂入ってから」
「宿題を先にやります」
「・・・・わかったよ」
ここでは議論の場ではなく、ルールとして覚えます。
子どもの言い訳や議論に乗っかってしまうと、話が脱線しやすくなります。
ケースバイケースのような状況は、逆に子ども混乱します。
この間は良かったのに、なんで今日は駄目なの?
事情が違うのですが、それは子どもには理解できません。
繰り返し同じルールを伝え続けましょう。
そして、大人もそのルールを守りましょう。
本人がやれていることを伸ばす
これまでの話し合いの中で、子どもなりに頑張ろうとしている面があると思います。
すぐに怒り散らしていたけど、今は少し我慢してから怒る
何でも投げたりしてたけど、言葉で言うようになった
クールダウンに15分かかっていたのが、10分になった
細かく見ていくと、変化を見つけることが出来ます。
いつも新しい方法を提案したり考えるのは大変です。
今、出来ている部分を認め、それをもう少し頑張ってみるように支持的に関わります。
本人が好きなものを考える
あなたは気持ちを収めるのにどんな方法を使いますか?
好きな音楽を聴く
お風呂に入ってゆっくりする
カロリー高めのケーキを解禁する
子どもにも好きなものがあるでしょう。
毎回ケーキを食べる訳にもいきませんし、イライラする度にずっとゲームするのもどうかと思います。
けれど、好きな絵本でもいいですし、アニメソングを聴きながら歌うのでも良いです。
子どもが好きなことを少しやってみようかと考えてみます。
それなら子どももやってみようって積極的に思えるでしょう。
ステップ4:イライラをコントロールしている頑張りを見つけて褒める
これは、普段の生活でのやり方です。
どうしても子どもへの注意は、
「ダメな時にする」
が多くなります。
目立ちますからね。
しかし、実は出来ている時もあります。
今までなら怒っているのに、よく我慢できたね。
いつもより早く気持ちを立て直すことが出来たね
この間話をした方法をやってみたんだね
そのような
本人も気づいていないこともあるかもしれません。
「成功している場面」をちゃんと見て、褒めてあげましょう。
見てもらっていると分かると、俄然やる気が出てくるのが子どもです(かわいいですね)。
✅ 子どもの観察が十分でない
✅ 100%の成功を求めすぎている
✅ 1,2,3のステップがまだ十分に出来ていない
子どもは常に成長しています。
成長を観察して、見つけ、それを伸ばすのは大人の仕事。
常に観察を続けましょう。
また、100%の完璧を求めてしまうと、「出来ていない」になりやすいでしょう。
90点のテストを怒られてしまうことと一緒です。
出来なかった10点の改善も大切ですが、90点まで伸びた努力を認めることに注意を向けましょう。
それが、20点だったとしても。
一定の水準まで頑張ることも大切ですが、本人の変化を見つけられるようにしましょう。
イライラしている子どもの理解と対応のまとめ
ここでは、イライラしている子どもの理解と対応を紹介しました。
子どもがイライラしている理由
・自分中心の考え方をする
・自分の気持ちを理解していない。
・自分の考えを言葉で表現できない
・イライラを落ち着かせる方法をしらない
イライラしている子への対応
・イライラしている本人を落ち着かせる
・イライラの原因について話を聴く
・一緒にイライラの対処方法を考える
・イライラをコントロールしている頑張りを見つけて褒める
イライラしている子どもの対応は、正直疲れます。
何度同じことを伝えても変わらないと、親も人間。
イライラする気持ちも出て来ます。
イライラは伝染しやすく、親から子、子から親に伝わり、家庭の雰囲気も悪いものになっていきます。
子どもはもちろん、親側も気持ちを落ち着かせて関われると、少し余裕を持って見守ることが出来るでしょう。
毎日のことで大変ですが、今回の記事が、小学生を持つ親御さんにとってのヒントになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。