「うつ病本人に頑張れと言ってはいけないんですよね」
家族からこんな相談を受けることがあります。うつ病という言葉が比較的当たり前に言われるようになっていて、少しずつ理解が広がっています。その為、「うつ病=頑張れと言わない」は、一つのルールとして覚えている人もいます。
確かに頑張れと言わないことは大事な事です。ただ、それ以外の言葉は良いのか?
ここでは、うつ病本人を追い込むことになる7つのキーワードを紹介します。普段の関りの中で使っていないか、是非チェックしてみてください。
この記事を読むことでこれらを知ることが出来ます。
☑ うつ病本人を追い込む言葉を知れる
☑ なぜ追い込む言葉に感じられるのかを知れる
では、早速説明します!
■ 目次 ■
1.甘えるんじゃない・怠けているんじゃない(精神論)
2.将来どうするんだ・いつ働くんだ(出来ないことの強要)
3.私の育て方が悪かったんだ(加害者にされる)
4.周りの人に、うちの子がうつ病だなんて言えない(存在を隠される)
5.お薬は身体に悪いから止めなさい(治療に素人考えを口出し・強要)
6.となりの〇〇さんは、結婚して子供もいるらしいよ(他者との比較)
7.無視(存在の否定)
8.まとめ【良かれと思っているかもしれませんが、結構きついんです】
目次
1.甘えるんじゃない・怠けているんじゃない(精神論)
これは、定番として言われる言葉ではないかと思います。
うつ病についての理解が病気ではなく、本人の気持ちの問題から起きていると考えている所から発せられる言葉なんでしょう。うつ病は病気で、誰にでも起こりうるし、その人の個性や気持ち次第で病気になったり治ったりするものではありません。しっかりと薬を飲んで、適切な療養が必要です。
これを言う人に知識が無いことも問題ですが、精神論で考える人は少なくないでしょう。
2.将来どうするんだ(出来ないことの強要)
将来のことについて話題に出されると、本人は苦しくなります。
なぜなら、本人はそんな将来のことまで考えられない状態だからです。
今まさに呼吸をしている瞬間さえもしんどいのに、先々のビジョンまで持つことが出来ません。
また、実際に考えられるようになったとしても、体調の波があり、動けたり動けなくなったりするのも症状の一つです。
3.私の育て方が悪かったんだ(加害者にされる)
この言葉は、うつ病になったのは、私(親)のせいだ・・と悲観的に語られる言葉です。
これは一見責められているように感じないかもしれませんが、実はここでは、「親を苦しめている加害者の役割」を担わされているのです。
うつ病の人は、親の育て方を否定している訳では無いのです。
親が勝手にそう思う分には構いませんが、それを言われた本人は、どうリアクションを取ればよいのでしょうか?
「そんなことないよ・・・私が弱かっただけだから・・・」
そんな風に、慰めて、ケアをする立場に立たないといけませんか?
自分でもこうなってしまったことを否定したい気持ちがある中で、更にうつ病になった自分を責めるきっかけになる為、追い詰められた気持ちになるでしょう。
4.うちの子がうつ病だなんて言えない(世間体を優先)
本人がうつ病であることを隠そうとする行為です。
誰にでも病気のことを話されるのは本人にとっては困りますが、本人にわざわざ伝える必要はあるのでしょうか?
そこには、自分の子どものことよりも、世間からどう見られるかの方に、注意が向いている状態なのかなと想像してしまいます。
「親の都合」が優先され、本人の苦しさに寄り添っている感覚から離れているように感じさせる言葉です。
この言葉を聞くと、
「私(うつ病本人)よりも、自分(親)のことばかりなんだよな・・・」
と感じられ、悲しい気持ちになるでしょう。
5.お薬は身体に悪いから止めなさい(治療に口出し)
この言葉はメンタルクリニックで働いていると、とてもよく聞く言葉です。
本人は治療の為に、ドクターの説明を受けて、お薬の治療を始めようとしている(始めている)のですが、親からの言葉で、薬を止めてしまう方がいます。
その結果、治療がなかなか進まないことも起こり得ますし、内服していたお薬を突然止めてしまうことで、症状が悪化してしまうこともあります。
ドクターの考えと、親の考えの間に立たされてしまうことで、本人がどうしたら良いか分からなくなってしまいます。
薬を飲まないということを、良かれと思っている方もいらっしゃいますが、それがマイナスになる可能性もしっかりと理解する必要があるでしょう。
6.〇〇さんは、結婚して子供もいるよ(他者と比較)
とても身近な人が、人生の階段を着実に上っているのに、あなたは・・・といった他人との比較をされることです。そこには、
「あなたは何しているの?人生の落第者だ」
と言われているような気持ちにさせられます。特に知っている人を例に挙げられると尚更苦しくなります。
7.無視(存在の否定)
本人の存在を無視する行為です。
本人からのメッセージを受け取らず、ただやり過ごすような態度を取ることで、本人は自分の存在が必要のないものだと感じられることもありますし、否定されているようにも感じます。
これは、「何も言わずに見守る」というメッセージと言ったポジティブなものではありません。
8.まとめ【良かれと思っても結構きついんです】
うつ病の人がいることは、家族にとっても苦しい時間となることが多いです。
本人にとっても初めての体験かもしれませんし、それは家族にとっても同様です。
相手に対して良かれと思って伝えている言葉や態度は、うつ病の本人にとっては、責められているような追い詰められるような気持ちになることもあります。
うつ病になると、今までならスルーしたり出来ていたことも、一つ一つにひっかかり、そしてマイナスに考えてしまうこともあります。
その為、言葉や態度には今まで以上に気を遣う必要があるでしょう(だから、家族も一緒に疲弊しますし、時にはうつ病の家族が、うつ病になってしまう場合もあります)。
うつ病本人が追い詰められる別の要因として、
「本人にも同じような気持ちがあって、同じように自分を責めている」
からです。親からのメッセージを「親うるさい、むかつく」と考えられれば良いのですが、そう考えられず、自分を責めてもいるのです。
だから、余計に家族の言葉に反応し、追い詰められているのだろうと考えられます(これについては、改めて記事にします)。
うつ病の治療には、本人だけでなく周りのサポートも必要です。改めて本人との関わり方について、考えるきっかけになってくれたらと思います。
また、もし更に考えたい・相談したいことがあれば、ご連絡ください。オンラインカウンセリングの準備をしています。
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うつ病のことを親に言えない場合の対処【臨床心理士が解説】
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