カウンセリング メンタルクリニック通院手引き

うつ病の人が職場で仕事を頼みやすくする方法【臨床心理士が解説】

仕事を頼みやすくする方法


うつ病の人が職場でストレスを感じる状況の1つに、仕事を抱えてしまうことがあります。

その背景には、上司や同僚に対してお願いをすることや質問をすることが難しい場合があります。例えば、職場の上司がとても忙しそうだったりすると、その上司を呼び止めてまで自分の状況を聞いてもらうことに躊躇してしまうこともあるかもしれません。


この記事では、職場で人に頼む際のやり方についての工夫を紹介します。これらの方法を用いることにより、以下のことを知ることが出来ます。

  ☑自分が困っているシチュエーションに応じた対応
  ☑困っている時に助けてもらいやすい環境の作り方


このテーマについて私が伝えられる理由は、現在私は、メンタルクリニックで10年以上臨床心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。

多くの方が、職場でのストレスによって体調を崩されることが多く、そのような場面の向き合い方についてカウンセリングを続けています。


もしあなたが、相手に頼むことが苦手な人だとしたら、今日にでも使えるヒントになってくれたら嬉しいです。



■  目次  ■

  1.相手が忙しそうで声をかけづらい時
   1.1 メールの利用
   1.2 事前に予告をする

  2.相手への伝え方が分からない時
   2.1 具体的に困っていることは何か/どうして欲しいのか
   2.2 これまでにどんな対処をして、その結果どうだったのか
   2.3 自分としては問題点はどこだと思っているのか

  3.相手が受け入れやすくするための工夫
   3.1 あなたにしか頼ることが出来ないというメッセージ
   3.2 してもらったことの報告と感謝の言葉を伝える
   3.3 相手が困っている時には積極的にサポートする
   3.4 普段から雑談をしたりコミュニケーションを取っておく

  4.まとめ【結局は人間関係になってくる】

では早速説明していきましょう!

1.相手が忙しそうで声をかけづらい時

 1.1 メールの利用

自分から声をかけづらいなと感じた場合には、メールやメモ書きで要点をまとめたもの(要点のまとめ方は後述)送っておくのも良いでしょう。

メールであれば、相手の都合に合わせて確認をすることが出来ますし、文章(図解)されたものですと、視覚的にも理解しやすいので、内容によっては、話をするよりも分かりやすく相手に伝わることがあります。

 1.2 事前連絡してアポイントを取る


相談が出来る時間のアポイントを取りましょう

これは、メールでも口頭でも良いですが、相手の都合の良い時間帯を聞いて、その時間に相談に乗ってもらいます。


例:お忙しいところ申し訳ございません。今〇〇会社に提案する企業説明会に関する企画書を作成している段階なんですが、提案内容のいくつかについて事前に確認とご相談をさせていただきたいと思っているのです、ご都合の良いお時間はございますか?


もし時間的にあまり余裕が無い時や、具体的な日程に話を決めやすくする為には、選択肢を決めた上で提案をすると良いでしょう。

例:今週ですと、私は明日の午後と明後日の午前中はお時間がありますが、ご予定的に空きはございますか?


などと、具体的な日程まで提示できると良いでしょう

日程を提案することで、相手もその枠内で空き時間を調べてくれますし、

あくまで相手に合わせているという態度を取りながら、

こちらの要望を伝えることが出来て、印象は悪くならないでしょう。

2.相手への伝え方が分からない時


相手に相談をするときに、だらだらと最初からの経緯を説明していると、時間がかかりますし、相手も「で、結局何が言いたいの?」となります。その為、次の順番で伝えたいことを整理しましょう。

 2.1 具体的に困っていることは何か/どうして欲しいのか


まず最初に一番困っていることを伝えます

現在困っていることと、その相談相手にどうして欲しいのかという目的を伝えることです。

これを聞くことで、相手はある程度、相談内容を予測して話を聞くことが出来ます

逆にその話が無く、経緯ばかりの話になると、何の話をしようとしているのか分からないので、色々と想像をしたり考えたりしないといけなくなります。


また、時にはあなたの質問に対して、ことの経緯を知る必要が無い場合もあります(例:それは、自分ではなく部長判断になるから部長に確認を取る必要がある、など)。

 

 2.2 これまでにどんな対処をして、その結果どうだったのか


困っていることに対して、あなたがこれまでにやってきた解決手段を説明します


資料を調べたかもしれませんし、事前に他の人に相談をして、それを試しているかもしれません。


そのような自分なりに頑張ったけれど出来なかった・十分に機能しなかったことについても説明します。

この説明を行うことで、あらかじめ相手が提案する解決策を減らすことが出来るかもしれませんし、問題点をより明確にすることが出来ます。

チェック! この部分が無いと、相手は「自分で何か努力したのか?丸投げじゃないか」といった印象を持たれてしまいます。自ら主体的に問題解決に当たろうとしていた姿勢が見えると、相手も「そこまでして出来ていないなら何かサポートしてあげよう」という気持ちになりやすいでしょう。

 

 2.3 自分としては問題点はどこだと思っているのか

 

自分なりに調べたことを説明した上で、自分なりに考える問題点はここではないかと考えていることを説明します。

 これらを大まかにまとめると、以下のようなイメージでしょうか。

 参考例:

 
 現在私が担当している○○会社に提案する異業種説明会の企画書についてご相談させてください。説明会を実施する上での集客について困っており、その解決方法について何かアドバイスを貰えたら嬉しいです。(具体的に困っていること/どうして欲しいか)

 今回の企画は3年前から行っており、今回で3回目となります。その為、ここ2年の参加者の一覧データーから、参加者の年齢や性別、説明会への期待などのデータを元に企画内容を検討しています。その結果、参加者が希望するテーマをいくつか選択出来るような□□の形で開催出来るような工夫をしてみようと思っています。実際に、モニターさんに対して実施したところ高評価も得られており、集客の呼び水になるのではと考えています。(これまでに対処してきたことと結果)

しかし、企画者である〇〇会社さんからは、「△△のテーマを軸にやって欲しい」と言われています。実際に、その△△のテーマは現在人気があるのですが、正直他の企業さんも同じようなものを企画しており、集客という意味では期待するほど見込めないのではないかと考えております。

 その為、△△と□□の違いを、どのような形で集客に結びつけられる提案にできるかを検討しているのですが、行き詰まっております。もし何か良いアイディアや参考になる資料などあれば、是非教えてください。(問題点の明確化)

 

3.相手が受け入れやすくするための工夫

3.1 あなたにしか頼ることが出来ないというメッセージ


相談をするときに、相手は誰でも良い訳ではなく、あなたにお願いしたいという気持ちが伝わると良いでしょう。

相手は、自分が必要とされている・他の誰かでは無いということに喜びすら感じられるでしょう。

相手が気持ちよく受けられると、より親身にサポートをしてあげようという気持ちになりやすいでしょう。

「これまでに異業種の企画を数多くこなしていらっしゃる○○さんに是非教えて頂きたいと思います」
「いつも、自分では考えられないような発想を持っていらっしゃる○○さんに是非・・・」

 

3.2 してもらったことの報告と感謝の言葉を伝える


相手に何かをお願いしたら、そのアドバイスの結果は必ず報告する必要があります

それは、良くても、残念ながらうまくいかなくてもです。

相手は、自分が時間を割いたことにより、結果がどうなったのかが気になります。
そして、結果の良しあしは、相談に乗った人にとってもプラスの経験となります。


談する側だけでなく、される側にもメリットを作ることで、今後も相談をしても受け入れてもらいやすくなるでしょう。

 3.3 相手が困っている時には積極的にサポートする


自分がサポートしてもらうだけでなく、相手が困っている時には同様にサポート側に回ることも大切です。お互いにサポートしてもらっているという体験があることで、気持ちよく協力が出来るようになるでしょう。

 3.4 普段から雑談をしたりコミュニケーションを取っておく


困った時だけ話しかけたり、相談したりしていると、あなたが話しかけることで、相手も身構えてしまうかもしれません。


普段から何気ない雑談をしておくことで、あなた自身も相手に話しかけやすくもなりますし、相手も気さくに相談に乗りやすくなるでしょう。

4.まとめ【結局は人間関係になってくる】


ここでは、うつ病の方が、仕事を一人で抱えない工夫として、周りにどうやって相談をすれば良いかについて説明をしました。


うつ病である(メンタルが落ちている)状態だと、元気な時と比べてパフォーマンスは下がることがあります。


その為、周囲にお願いすることが増えてくることもあるでしょう。


そのような中で、相手に相談をする方法や、話しやすい環境づくりはとても大切になってきます。

お願いをする・されるというコミュニケーションでは、あくまで一方的なものでは無く、お互いにとってのメリットがあることが大切です。

お願いをするという一見「相談をお願いする側がメリットになりやすい環境」においても、相談を受ける側へのメリットが得られる形を取れると、今後も良い関係を継続することが出来るのではないかと思います。

関連記事として、うつ病の人が人に頼れない3つの理由【改善方法も紹介】も参照してみてください。

-カウンセリング, メンタルクリニック通院手引き

© 2024 三杉達也メンタル研究所 Powered by AFFINGER5