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うつ病の物忘れと認知症との違いとは?【臨床心理士が対策も説明】

 

うつ病の物忘れ物忘れで困っている人

「最近、仕事で簡単なミスを連発。上司から何度も怒られてしまいます。これって認知症の始まりなんでしょうか?どう対策をしたら良いのか分からないので教えてください。」

 

ここでは、うつ病の物忘れと認知症の違いについて説明をします。

 

この記事を読むことで、

 

✅ うつ病の物忘れと認知症の物忘れの違いを知ることが出来る

✅ うつ病の物忘れへの対策を知ることが出来る。

 

記事を書いている人は?

メンタルクリニックで10年以上臨床心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。患者さんの中で、忘れてしまうことへの不安を訴える方が多いので、ここにまとめてみました。参考になれば幸いです。

 

 

うつ病と認知症の物忘れの違いとは?

 

うつ病の物忘れは、新しい情報が頭の中に入ってこないことが多いです。

 

例えば、本を読んでいても内容が頭に入ってこない、昨日奥さんと話をした内容を忘れてしまったり。

 

 

認知症の物忘れは、その出来事自体の記憶がすっぽり抜けてしまいます。

 

例えば、上の例で言えば、本を読んだことも、奥さんと話をしたということ自体も覚えていないということです。

 

うつ病では、行った行動は覚えているが、その内容が抜け落ちているだけですが、認知症では、行動自体も忘れてしまっているという状態になります。

 

チェック

高齢者の物忘れ。認知症なのか、物忘れなのかの判断する時のヒント

 加齢に伴い忘れることが多くなってきます。自分の眼鏡をどこに置いたか分からなくなる・買い物に出かけたのに買うものを忘れてしまうなど。このような物忘れは生活では困ってしまいます。しかし、「テーブルの上にあるでしょ」「たまごと牛乳でしょ」と伝えれば、「あーそうだった」と思い出すことが出来ます。しかし、認知症だと、買い物に行くこと自体忘れてしまったり、眼鏡が無いと「誰かが部屋に入って盗っていったんだ」と考えます(物盗られ妄想という症状の1つです)。

 

認知症ではなくうつ病の可能性が強い場合とは?

 

うつ病の場合は、物忘れ以外に、不眠や身体のだるさ、将来に対して悲観的に考えるなどの症状が見られます。

 

物忘れのみで、うつ病か否かを判断することは難しいですが、上記の症状があった場合は、うつ病である可能性が考えられます。

 

うつ病の症状については、こちらの記事を参照してください。

うつ病ってなに?病院に行く判断を臨床心理士が解説【まずは受診】

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注意

うつ病ではなく自分はADHDなのでは??

物忘れが多い人が、ネットで情報を調べると、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の可能性があると出てくる場合があります。この障害は、忘れ物が多かったり、片づけが苦手だったり、落ち着かずに衝動的に動き回り、疲弊してしまう障害です。うつ病との違いは、今の物忘れが、体調不良と共に出てきたのか、それとも小さい頃からずっと忘れ物に困っていたのかによって分けられます。体調不良前に、物忘れで大きなミスを何度も繰り返すようなことが無ければ、ADHDの可能性は低くなります。

 

うつ病の物忘れへの対策は?

心療内科でうつ病の治療をしましょう

 

物忘れは、うつ病の症状として考えられる場合、うつ病の治療が必要です。

 

うつ病の治療では、薬を飲んだりカウンセリングを受けながら治療を進めます。

 

うつ病の治療が進んでいくと、物忘れも少しずつ軽減していくでしょう。

 

注意

お薬の作用によっては、物忘れが少し長引くことも

お薬の作用によっては、日中ぼーっとするような効用があるお薬があります。主に抗不安薬のような不安を和らげるお薬では、比較的感覚が少しぼんやりことがあります。お薬及びうつ病の症状からくるものですので、あまり焦らずに気長な気持ちで過ごしましょう。

 

忘れても良いことにする/忘れたくないものは誰かに手伝ってもらう

 

うつ病の治療中であれば、この時期は忘れても良いと開き直りも必要です。

 

いつもの「ちゃんと」を止めて、「適当に」を意識しても良いかもしれません。

 

絶対に忘れてはいけないものがあれば、アラーム機能やカレンダーへの記入、誰かに教えてもらったりと、周りにお願いする機会を作ることも良いでしょう。

 

一人でちゃんとやろうとすることに疲れてうつ病になってしまったのだとしたら、この機会に少し違う過ごし方を試してみるのも良いでしょう。

 

まとめ【物忘れよりも大事なのは、自分を責めないこと】

 

ここでは、うつ病の物忘れについて説明しました。

 

物忘れはうつ病の症状であることから、うつ病の治療をしていけば、徐々に軽減されるでしょう。

 

 

物忘れよりも大切なのは、物忘れをする自分を責めないようにすることです。

以前に出来ていたことが出来なくなると、とかく人は自分を責める傾向が出て来ます。

 

「こんなことを忘れていたら、このまま自分は何も出来なくなる」

 

と悲観的な気持ちも出て来てしまいます。

 

うつ病の症状として理解が出来ますが、あまり早急に戻そうとしてしまうと、逆にストレスがかかり、治療が長引いてしまいます。

 

自分を責めず、気長に付き合おうというつもりで過ごしていれば、自然と軽減していくことでしょう。

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