うつ病で退職をしたことについて後悔している人がいます。
その時の感情に任せて、退職しなければ良かった・・・
振り返れば、前の職場にも良いことがあったのに気づけなかった・・・
あの時に戻ったら、退職なんてしなかったのに・・・
過去のことを振り返り、後悔の気持ちが無くならない方もいると思います。
この記事では、うつ病で退職したことを後悔している方が、気持ちを切り替えていく方法について説明します。
ここで紹介する方法が、退職の後悔をポジティブなものに変えて、前に進んでいくヒントになれば嬉しいです。
記事を書いている人 メンタルクリニックで10年以上臨床心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。リワークデイケアでも働いており、復職や退職、転職を選択する患者さんの面談を行っています。
目次
退職の後悔を切り替える4つのステップ
さきに答えだけお伝えします。
後悔の気持ちを切り替えるには、4つの段階があります。
。
後悔した気持ちを切り替える流れ
段階ごとに進めるのが大切。
なぜなら、ステップを飛ばしてしまうと、モヤモヤした気持ちが残ります。
後悔の気持ちを残さないためにも、ステップごとに、確認しましょう。
うつ病退職後の後悔を分解する
退職の後悔は、漠然とやってはいけません。
後悔するならちゃんと後悔しないと。
なにそれ?って思いますよね。
けれど、ぼんやりとした後悔は、ずっと続きます。
ここでは、「ちゃんと後悔をする」を目指しましょう。
ちゃんと後悔するとは、
「何に対して後悔をしているのか」を考えて、「何を学び、今後どうすれば良いのか対策する」ということです。
後悔とは、過去の行動を悔やんでいる状態です。
何を学んで、今の生活にどう生かしていくかが大事になります。
後悔している分野を4つのジャンル分けをしてみましょう。
退職して収入が減った後悔
退職をしてしまったことで、仕事が見つからない・転職先の給与が安いなど収入面の低下が後悔になってしまっている可能性があります。
うつ病で退職に至ったケースの多くは、体調不良や関係性の悪化が転職のきっかけになります。
前向きな退職ではないケースが多いことから、給与面が下がってしまう場合も多いでしょう。
キャリアを手放した後悔
これまでずっと続けてきたキャリアを手放してしまったことで、将来が見えない状況になってしまったかもしれません。
キャリアを積んでいくことで得られたポジションもあったでしょう。
転職した結果、1から始めないといけない立場になり、これまでの自分の頑張りが無駄になってしまった…と後悔します。
家族関係がギクシャクした後悔
仕事を辞めたことで、奥さんとの関係が悪くなっているかもしれません。
家のローンがあるのに…と経済的な不安を責められることも。
しまいには喧嘩が絶えない関係となり、家の雰囲気が悪くなってしまいます。
仲良かった人と疎遠になった後悔
元職場の人との付き合いが減ってきます。
もともと関係性が悪ければ、気持ちはすっきりします。
しかし、仲が良かった人や、ツラい時に自分を支えてくれる人もいたでしょう。
ポジティブな人間関係が希薄になってしまい、孤独になった後悔もあります。
同じことを繰り返している自分への後悔
自分の性格や行動パターンへの後悔があるかもしれません。
・苦しいことがあったら、逃げる
・一人で問題を抱えて苦しくなる
・周りに迷惑をかけていると過剰に考える
今回の退職だけでなく、これまでの行動の繰り返しに「また同じことをしている」という後悔があるかもしれません。
いかがでしょうか?
自分の後悔をジャンル分け出来ますか?
複数当てはまっている人もいるでしょう。
複数あることは自然な事です。
それぞれの分野は独立したものでは無く、繋がっている場合が多いでしょう。
この段階の目的 後悔の内容を具体化することにより、改善へのアクションへ結びつけやすくする
退職後の後悔は優先順位を決める
後悔の分野はたくさん。
どれから手を付けたら良いのか分からないって人もいるはず。
大切なのは、どの後悔が最も自分にダメージが大きいかを知ることです。
後悔の大きい順に並べてみるのも良いでしょう。
一旦書き出してみるのもイイですね。
頭の中であれこれ考えずに書いて見えるようにします。
可視化することで、気にしすぎないで過ごしやすくなります。
この段階のポイント
優先順位を決めると、まず取り組むべき分野にフォーカスしやすくなります。次へのアクションに前向きになります。
退職の後悔よりも、出来ることに集中する
優先順位が決まったら、優先順位の高いものから順に出来ることを考えます。
注意 この先が、最も難しく感じるポイントです。なぜなら、実際に、行動を起こしていくプロセスになるからです。行動に起こせると、変わっていける可能性が高くなります。
退職して収入が減ってしまった後悔へのアクション
収入が下がっていることへのアクションとしては、
・収入を増やす ・支出を減らす
になります。
シンプルですが、それ以外の方法は無いでしょう。
収入を増やす方法は、
・今の職場で成果を出して給与をアップさせる
・副業をして稼ぐ
・給与が多い場所に転職する
になるでしょう。
支出を減らす方法は、
・生活費や余暇の出費を見直す
・無駄な買い物はしない
・お金のかからない趣味を見つける
などの工夫となります。
注意 お金を制限するところと使うところは間違えないように 「時間が無いから睡眠時間を減らそう」と考えて睡眠時間を減らしてしまうと、全体的なパフォーマンスが下がります。お金も同じ。かけるところと、減らすところの線引きは重要です。余暇のお金ばかりを絞ってしまうと、日々のモチベーションが保ちづらくなります。自己投資にお金を使うことは必要です。
キャリアを手放した後悔へのアクション
これからののキャリアを考えた場合、いま持っている経験や知識をどのように生かせるかを考える必要があります。
今までの経験とは全く違うことから始めることは大変です。
なかなか結果に結びつきづらい場合もあります。
かと言って同じ分野だけですと、業種が限られてしまうかもしれません。
その為、自分の業種と業界の内、どちらかを変えてみるのが1つです。
ポイント 業種:営業職 業界:金融 → 業種:営業職 業界:IT 業種:営業職 業界:金融 → 業種:コンサル 業界:金融
これまでの経験を生かした上で、新たな分野で自分のキャリアを形成していくことが可能です。
お勧めの本です
著者であるmotoさん @moto_recruit は、転職を繰り返しながらキャリア形成に成功した方です。
キャリア形成について詳しく説明をしてくれています。
今後どうしたら良いだろう?って迷っている人にはお勧めです。
家族関係がギクシャクした後悔へのアクション
家族関係の問題は、経済的な見通しに大きく左右されるのではないでしょうか。
定職についている年収200万円の人
フリーランスで年収1000万円の人
奥さんからの希望は、後者になるのではないでしょうか?
フリーランスのデメリットは、将来への見通しや保証が無いことでしょう。
しかし、今の時代は定職が安定保証にならなくなっているのも事実です。
また、奥さん的には、お金稼いでくれば別に良い。
家に居すぎないぐらいが楽で良い。
ぐらいにしか思っていません。
その為、収入をアップさせることで、家族関係も良い方向になっていくでしょう。
仲が良かった人と疎遠になった後悔へのアクション
転職や退職によって、仲の良かった人間関係も絶たれてしまった方がいらっしゃいます。
自分から連絡を取りづらいと考えている方もいるかもしれません。
少し期間が空いてしまうと、今更連絡しても・・・と考えがち。
繋がりを再開したくても出来ないと感じられるでしょう。
うつ病など体調不良が原因で対処に至った場合、相手も連絡を取りづらいと考えられます。
なぜなら、職場のストレスが原因で退職に至った場合、職場の人間から連絡が、あなたの負担になってしまうかもと考えるからです。
連絡することに、相手も躊躇している可能性があります。
その為、体調不良を起こしたあなたから連絡を取ることをお勧めします。
メールで、近況を伝えるのも良いでしょう。
以下にメールの参考例を紹介しますね。
参考例 〇〇さんへ、 ご無沙汰しております。△月に退職をした上杉です。お元気でお過ごしでしょうか。 〇〇さんには大変お世話になっていたにも関わらず、ご連絡もしないまま突然退職をしてしまい申し訳ございませんでした。当時の私は、うつ病で精神的にも余裕が無く、皆さんに迷惑をかけている気持ちばかりが募ってしまい、退職という選択をしました。 現在は、体調を整えながら求職活動を行っております。なかなか自分が求める仕事につけず、焦りも感じています。退職については、今でも後悔する気持ちと、新しい気持ちで新天地で頑張りたい気持ちの両方があります。 ▢▢会社で一緒に働かせて頂いていた時には大変に感じていました。しかし〇〇さんが公私ともにサポートしてくれたことを改めて実感し、感謝の気持ちでいっぱいです。〇〇さんがいてくれたおかげで、6年間働くことが出来たと感じています。本当にありがとうございます。これからは、お会いする機会も減ってしまうかもしれませんが、またお時間がある時にお酒でも飲みに行けたら嬉しいです。 〇〇さんも、お体には気を付けてお過ごしください。
繰り返していることの後悔へのアクション
自分が退職に至った理由を、あらためて考えてみるのも大切です。
多くの場合、その思考や行動は、繰り返されている可能性があります。
例えば、自分の仕事量が一杯なのに、NOと言えずに仕事を抱えてパンクになってしまう。
自分が思っていることを相手に表現できないことで、自分の状態を追い込んでしまっている方がいます。
その場合、上司に頼みごとが出来るようになると、一人で抱えずに仕事をこなしていけるようになるでしょう。
具体的には、こちらの記事を参照してみてください。
退職後に後悔しないために、まず行動を起こす
後悔を続けると、動けなくなります。
ぐるぐる思考になりやすく、前にも後にも進めない感覚になります。
まずは、動き出すを優先しましょう。
思考を変えるより、まず行動を変える。
その結果、思考も変わっていきます。
行動が、過去の自分の行動を後悔から解放されていくでしょう。
その時に大切なのは、行動できている自分をちゃんと認めてあげることです。
過去に気持ちが引っ張られてしまうこともあります。
後悔の気持ちを持ちながらも、少しずつ動き出そうとしている。
実際に動き出せていたら最高。
動けていなくても、動き出そうとしているだけで花丸。
変化には抵抗感がつきものです。
特に、うつ病などメンタルで落ちている時には、新しいことへのチャレンジは人一倍労力がかかります。
チャレンジする自分をちゃんと褒めてあげてください。
行動は、すぐ変化に繋がらないでしょう。
しかし、やり続けることで、以前とは違う気持ちを持てるでしょう。
うつ病で退職をした後悔を切り替えるポイントまとめ
この記事では、後悔を切り替える流れを4つのポイントで紹介しました。
後悔した気持ちを切り替える流れ
後悔をする気持ちは自然な反応です。
けれど、後悔をするのではなく、次に向かうきっかけにしたいものです。
チャレンジしなければ、失敗はしない。
あなたは自分のベストを尽くしました。
ベストの結果を否定せず、一つずつやれることを進めましょう。
いつの日か、
こんな時があったな…。
懐かしい想い出になるように。