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うつ病の人があきらめた方が良いたった1つのこと【臨床心理士解説】

あきらめた方が良いこと

うつ病の人があきらめた方が良いことを最初から伝えると、それは、

周囲が病気について理解してくれると期待すること

自分がこれほどまでに苦しんでいるのに、どうして周りは理解してくれないのだろうと、イライラしたり、悲しい気分になることはありませんか?

それこそ、一番身近にいる家族や恋人なら、分かってくれて当然だと思いませんか?

このように、周りに期待することで、余計にあなたが苦しんでいるのではないでしょうか。

この記事では、うつ病を周りが理解できない理由と、期待しないことのメリットについて紹介します。この記事を読むことで、こんなことが分かります。

✅ 周りの人が、うつ病を理解できない理由が分かる 

✅ あきらめることのメリットが分かる

この記事を書いている私は、メンタルクリニックで10年以上臨床心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。私は、多くのうつ病の方とお会いする中で、周囲に期待すること自体が、自分自身を苦しめていることを感じていました。そして、周囲への期待や、あきらめの感覚が持てることで、回復に向かう方がいらっしゃることがわかりました。その為、ここでご紹介する考え方や方法が、今うつ病で悩んでいる人にとって、ストレスを軽減するヒントになれば嬉しいです。

◆  目次  ◆

1.周囲がうつ病を理解できない3つの理由
 1.1 分かりづらいうつ病の症状
  1.1.1 見た目からは分かりづらい
  1.1.2 人によって症状が違う
  1.1.3 日によって体調が違う
 1.2 理解できないのではなく、受け止められない
  1.2.1 自分のせいでうつ病になってしまったのではないか
  1.2.2 目の前で苦しんでいる人を助けられないことの苦しさ
 1.3 自分が体験したことがないから想像が出来ない

2.あきらめるという選択肢を持つことのメリット
 2.1 周りに振り回されにくくなる(傷つかない)
 2.2 自分の目を向ける時間が増え、自分のことを理解することが増える
 2.3 他人と適度な距離感を持てる

3.まとめ【あきらめるから人間関係を作ってみましょうか】

1.周囲がうつ病を理解できない3つの理由

 1.1 分かりづらいうつ病の症状

  1.1.1 見た目からは分かりづらい

骨折やケガなど外傷が無いことから、本人の辛さが分かりづらい面が大きいです。うつ病の人の中でも、「仮面うつ病」と呼ばれる、気持ちの落ち込みなどよりも身体症状(肩がこる・首が痛い)が多い方は、比較的周囲からも分かりづらく、うつ病本人も我慢できてしまう面が大きくなります。その為、周囲は本人がしんどそうだとは感じますが、そこまで悪いとは感じにくいかもしれません。

  1.1.2 人によって症状が違う

うつ病の方に見られる症状は多く、その方によって症状の出方が違ってきます。不眠や食欲不振など一般的に見られる症状とは逆に、過眠や過食などの方もいます。そういう姿は、病気ではなく、甘えのようにも感じられやすいのです。

  1.1.3 日によって体調に変化がある

 うつ病は、症状が一日の中で変わりやすいのが特徴です。特に朝から午前中には辛く、夕方になると少し楽になってくる方が多くいらっしゃいます。そのような変化は、「職場や学校に行きたくないから朝は調子が悪いんだ。逃げているだけ。」などと、気持ちの問題かのように捉えられてしまいやすくなります。症状から起きていることだと思われにくいかもしれません。

1.2 理解できないのではなく、受け止められない

  1.2.1 自分のせいでうつ病になってしまったのではないか

 うつ病で苦しんでいる姿を見ていると、「自分のせいでうつ病になってしまったのでは」と考えてしまう方もいます。少なからず環境要因も考えられるとは思いますが、周りの人が、それぞれ自分自身のことを過剰に責める気持ちを持ちやすくなります。そのような考えを持ち続けることは苦しくなるので、「自分のせいではない。これはうつ病ではない。」などと考え、受け止めることから逃げたくなる人がいます(逃げることがダメだという意味ではなく、それぐらい苦しんでいる可能性があるということです)。

  1.2.2 目の前で苦しんでいる人を助けられないことの苦しさ

  目の前で大切な人が苦しんでいたら、多くの人は助けてあげたいと思うでしょう。しかし、何かサポートをしても症状がすぐに改善されるわけではありません。うつ病特有の重たい空気の中で一緒に過ごしていると、周りの人もそれを助けてあげられないことが苦しくなることがあります。最初はサポートを頑張ろうとするのですが、その内、一緒にいることが辛くなってきて、その辛さから離れたくなることがあります。

 1.3 自分が体験したことがないから想像が出来ない

 気分の落ち込みは、一時的なものだから、自分の気持ちを切り替えていけば、どうにかなるもんだろうと考える人が多くいらっしゃいます。それは、これまでにうつ病を体験したことが無い人にとっては、そう考えるのもおかしくありません。なぜなら、その人は、そうやってこれまで乗り越えてきたからです。年齢が上の世代の人の多くに、「自分は必死にやってきた。今の時代の子は頑張りが足りないからだ。」と考える傾向が強いと思います。その方と本人の体験は違って当然なのですが、そこは見逃され、「頑張れば乗り越えられる壁。逆にそれぐらい乗り越えなくてどうするの?」という気持ちさえ持っている方がいらっしゃいます。

2.あきらめるという選択肢を持つことのメリット

 2.1 周りに振り回されにくくなる(傷つかない)

 周りに期待をし過ぎると、周囲の反応に一喜一憂することが多くなります。どうして分かってくれないのかと相手を否定したり、悲しい気持ちが続いてしまうこともあります。その結果、ストレスに感じたり、自分で自分を責めて傷つけることにもなりかねません。あきらめるという選択肢を持つことで、周りの反応によって気分の波が起きることを軽減することが出来るようになります。

 2.2 自分の目を向ける時間が増え、自分のことを理解することが増える

周囲よりも自分に目を向ける時間が増えることで、今まで自分が気づけなかった、こころや身体のサインに気づくことが出来るようになります。身体の痛みや、こころの重さは、あなたに苦しさを伝えているサインです。今までは、自分のことよりも仕事や勉強、周囲の期待に応えようと、これらのサインに目を向けずに頑張ってきたのかもしれません。改めて、自分と向き合う時間を増やすことによって、自分が求めていることに気づきやすくなります。そして、サインに早く気づけるようになることで、未然に自分を守ることにも繋がりやすくなります。

 2.3 他人と適度な距離感を持てる

あきらめるという方法により、相手との距離が少し離れます。もしかしたら相手との距離感が近すぎることによって、自分も、そして相手に対しても縛り付け、息苦しさを感じていたかもしれません。適度な距離感が持てることにより、自分のことも、相手のことも尊重する関係性が出来て来ると、気持ちに余裕が持てるようになることもあるでしょう。

3.まとめ【あきらめるから人間関係を作ってみましょうか】

うつ病の人が、自分のことを理解してほしいと期待することをあきらめることが大事です。一見、とても冷たく、寂しく感じられる言葉かもしれません。しかし、あまりに強く期待しすぎることにより、関係性が悪くなることもあります。そして、理解が出来ないという相手の事情を知っているだけでも、少し許せる気持ちになるかもしれません。

「相手が自分のことを全てわかることなんて、とうてい無理だから、あきらめよう」と考えることから、始められたらいかがでしょうか?全く別々の人であるというところから、少しずつ分かり合える関係性を作っていくことは、お互いにとって、自分を大切に出来る方法なのではと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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