メンタルクリニックの初診と他の科での初診の大きな違いは、伝えることが沢山あるということです。内科や外科では、血液検査や各種検査によって症状の原因を確定することが出来たり、手術をすることによって、病気やケガの改善を行うことが出来ます。一方メンタルクリニックでは、今起きている症状の要因を探る方法の多くが、患者さんからの症状の訴えに大きく頼る面が大きいです。その為、ドクターから様々な質問をされて、それに答えていく必要があります。つまり、あまり言葉で説明することが苦手な人の場合、ドクターに十分な症状やその背景を伝えられないことによって、適切な診断と治療に時間がかかることになります。
しかし、メンタルクリニックに初めてかかろうとする時は、体調が悪く、上手に自分のことを説明することは難しい場合も多いと思います。話すことが苦手ではない人にとっても、自分のことを説明することは難しいと思います。その為、今回のテーマは、初診で困らないようにするために、メモを利用する方法を考えます。話すのが苦手な人も、こちらのテンプレに沿った内容を事前に記入しておけば大丈夫です(ゆっくりと時間をかけて作成しましょう)。
ここで知ることが出来ることは
・メモを利用する目的
・メモの内容(テンプレあり)
・メモの使用方法
となります。
さっそくいきましょうか。
目次
■メモを利用する目的
1.診察をスムーズに効率化
メンタルクリニックで時間がかかる理由として、診断をつけていくプロセスが関係しています。まず、体調が悪いとなった時には、身体の病気かどうかをまず疑います。不安で胸が苦しいという訴えがあったとして、不安かどうかは置いておいて、まず胸の苦しさの可能性を考えます。心臓に元々疾患が無かっただろうか・呼吸器系の問題はないだろうかなどをまず確認します。その次には、内因性(遺伝や気質的なものが無いか)が無いか。最後に心因性(何か生活の中にあるストレスによって体調不良になっている)を疑います。多くの方が、症状の理由をストレスが原因だと結びつけやすいのですが、ストレス要因の可能性は、最後の選択肢として考えます。こういった可能性があるので、まず身体の病気ではないことを調べるのに時間がかかります。
2.伝え忘れを防ぐ
診察が終わってから、「あのことを伝えなきゃいけなかった・・けれど次回の診察は2週間後だし、どうしよう・・」ということが無くなります。特に、メンタル面が低下してくると、思考が以前のように働かなくなるので、整理立てて話をすることが難しくなる場合も多くなります。
3.ドクターとの治療関係が良くなる
ドクターにとっては、予め経緯が分かる資料を用意してもらっている方が診断を進める上で助かります(しかし、つらつらと要点から外れたような思いを何ページにも書かれてしまうと、うんざりされてしまいますが)。ドクターもあくまで人間なので、好意を持つ患者さんと、そうではない患者さんがいます。その為、(無理に合わせる必要は無いですが)ドクターが助かることをすることで、治療関係が良くなります。また、今後継続して通院する必要が出た場合、メモ書きを活用することが出来るでしょう。詳しくは、
■どんなメモを用意したら良い?(テンプレあり)
テンプレートを用意したので、それに沿って内容を書き込んで持参するのが良いでしょう。初診の時には、最初に問診票の記入を求められる場合がありますが、それと重複した内容になっても構いません(逆に問診票を記載する時に、それをそのまま書いても良いでしょう)
①自分が困っていること
身体面:ひどく疲れている、痛みやしびれ(部位)などの身体的症状
こころ:不安感・孤独感・イライラ・将来が絶望的な気持ち・気持ちのアップダウンが激しいなど
生活面:寝ることが出来ない・食べられない・仕事や学校に行けない・人と会いたくない・寝てばかりいる・趣味が楽しめない・性欲が落ちているなど
②困っている状態は、いつごろから続いていますか
③何か原因として考えられることはありますか
④以前にも同じような症状がありましたか?その時期と、その時の治療はどうしましたか?
⑤今はどんな生活をしていますか?
例:派遣社員として事務の仕事を週5日。2年前の4月より勤務。現在も何とか仕事に行けている。一人暮らし。週末はほとんど寝て過ごしている。
⑥あなたを支えてくれる一番近い存在は誰ですか
⑦今日治療に来た目的や期待はなんですか?
例:今の仕事を少しお休みしたいと思っているが、休職の診断書が書いてもらえるか/薬を使ってでも会社に行きたいので、少しでも不眠を治したい/自分が病気なのか甘えなのか分からないので、どんな状態なのか教えて欲しい/生活のアドバイスが欲しい・・・など
■どのようにメモを利用する?
机に置いて、ドクターに見せるようにして話しましょう。手元に持ちながら読み出すと、ドクターからすると、「この人どれぐらい話すんだろう?」「その内容は分かったから、他のことを知りたい」などがあります。または、ドクターに全て渡してしまい、その情報を知ってもらったうえで、何か質問をしてもらうのも良いかもしれませんね。
■最後に
メンタルクリニックに初めてかかることに抵抗があるかもしれません。最初の診察が、とても緊張しますし、不安に感じるだろうと思います。ただ、多くの方が同じような気持ちになっています。メモを活用することで、少しでもメンタルクリニックに行くハードルが下がってくれると嬉しいです。初めての診察の流れについての詳細は、メンタルクリニックの初診って何をするの?を参照してください。