メンタルクリニック通院手引き

うつ病ってなに?病院に行く判断を臨床心理士が解説【まずは受診】

メンタルクリニックに行くべき?

 「最近ちょっとうつっぽいんです・・・」そんな風に自分の状態を表現して、メンタルクリニックに電話がかかってくることがあります。私が、それはどこかで診断をされたのかと聞くと、そうではないが、気分が落ち込んでいたり、やる気がしないので、うつ病かなと思って・・と。今はそれぐらい、「うつ」という言葉が、多くの人に使われる世の中になっています。

 では、そもそもうつ病って何?どんな病気なんでしょう。ここでは、うつ病について紹介します。特に、「これを知っておくことで、メンタルクリニックに行こうかどうかが判断できる」という9つのポイントに絞ってお伝えします。臨床心理士としてメンタルクリニックで勤務する私の経験から伝えられる症状のサインも一緒に紹介しますね。

 

 
■  目次  ■

1.うつ病に見られやすい9つの症状

 1.1 気分の落ち込み

 1.2 興味や喜びの喪失

 1.3 食欲の減退・増加

 1.4 睡眠が不安定

 1.5 精神運動の障害

 1.6 疲れやすい・意欲の減退

 1.7 罪責感

 1.8 思考力や集中力の低下

 1.9 死にたくなる

2.普段の落ち込みと、うつ病ってどう違うの?

3.最後に【どうなったら病院に行くべき?】

 では、1つずつご紹介していきます。

 

1.うつ病に見られやすい9つの症状

うつ病9つの症状

 1.1 気分の落ち込みがあるか

 悲しい気持ちや、むなしい、気持ちがとても落ち込んでしまっている

チェック! 何をしていても気分がふさぎ込んでいている状態です。いつも「はぁ~」とため息をつきたくなるような、かと言って具体的に何か理由が・・という訳でもないこともあります。周りから見ても、暗く沈んでいる様子が見られます。

 

 1.2 興味や喜びの喪失

 何にも興味や関心を持てない、以前は楽しかったことが楽しくない

チェック! 週末の過ごし方などに変化はありませんか?以前なら友人と食事を楽しんだり、外に行くタイプだったのに、今は外に出るのも友達と過ごすのも嫌。好きなゲームも最近は、少しやるだけでもういいやって思うなど、余暇の時間が楽しめなくなってしまうことがあります。

 

 1.3 食欲の減退、増加

 何も食べない・味がしない・逆に食べてばかりいる

チェック! 食欲が減るだけでは無く、増えるのもメンタル不調のサインです。食べるという行為は、エネルギー補給の意味もありますが、色々と考えることを止める為の方法として食べ過ぎてしまうこともあります。味がしないと表現する代わりに、「砂を噛んでいる感じ」と表現される方もいます。

 

 1.4 睡眠が不安定

 寝付けない、途中で目が覚めてしまう、朝早く起きて寝られない、ずっと寝てしまう、寝ても疲れが取れない・・・など

チェック!多くのうつ病患者さんが、睡眠の課題を抱えています。寝られないことにより、アルコールの摂取量が増えてしまうという方もいます。少量のアルコールは、寝つきに効果がある場合もありますが、睡眠の質を悪化させてしまいますので注意が必要です。

睡眠については、睡眠障害6つのパターン解説【うつ病との関連】を参照してみてください。

 1.5 精神運動の障害

 イライラする、動作が鈍くなる、焦燥感が強くなる、突然涙が止まらない

チェック! 動きがゆっくりになり、口数も減ってきます。一方で、こころの中では不安と焦りの感覚はあるので、急にせかせかと動き始めたりします。行動的になったというよりは、落ち着かないといった感じに近いかもしれません。

 

こちらの記事も参照してみてください

 1.6 疲れやすい・意欲の減退

 何もしていないのにひどく疲れてしまったり、日常生活でやる気が起きなくなる

チェック! これまでに当たり前に行っていた、歯を磨く・お風呂に入るなどが億劫に感じたり、身だしなみを整えることに面倒に感じやすくなる方が多くいらっしゃいます。家の中も、少し汚くなりがちです。

 

 1.7 罪責感

 自分に価値が無いと自分を責める・全部自分がいけないんだと自分を責める

チェック! 自分のことを責める気持ちが強くなります。人によってはリストカットのような自傷行為をしてしまうこともあります。周りが受容的に関わっても、本人のネガティブな思考は変えづらい場合があります。

 

 1.8 思考力や集中力の低下

 物事に集中が出来ない・今までよりも作業に時間がかかる

チェック! 職場でイージーミスを繰り返す・同時進行で作業が出来ない・言われたことを忘れてしまうなど、仕事をしていて変化を感じやすいかもしれません。

こちらの記事も参照してみてください

 1.9 死にたくなる

 死にたい・生きているのがしんどい

チェック! 現在だけでなく、将来に対して悲観的に捉えてしまいやすくなります。また、周囲に迷惑をかけているという罪責感などから、孤立した気持ちになりやすいこともあります。

 

上記に書かれた症状と少し違うな・・と感じた人は、もしかしたら非定型うつ病かも?

こちらの記事を参照してみてください。

2.普段の落ち込みと、うつ病ってどう違うの?

落ち込みとうつ病の違い

普段の落ち込み うつ病
時間が経つと回復 2週間以上続く
仕事や趣味で気が紛れる 気が紛れない
仕事や生活は出来ている 遅刻やミスなど支障が出始める
気分転換が出来る 気分転換が難しい
人に頼りたい 頼りたいが面倒

 

 普段の落ち込みとうつ病の違いを表にしました。普段何かストレスを感じた時や、その時の対処は、左側の状態が多いのではないかと思います。しかし、実際にうつ病になると、気分転換をしたり気が紛れるということが難しくなります(周りの人は、普段の落ち込みだと考えるので、気分転換にどこか出かけようなどと誘ってきます。実際には、その誘いに合わせることも苦しくなってきます)。

 ただ、はっきりとした境界線はありません。人によって、表のように明確に分かれないことも多くあります。「いつもの自分と違っているな」・「今までのようにはいかないな」という感覚はあるでしょう。そういった自分の感覚も大切です。

 

3.最後に【どうなったら病院に行くべき?】

病院に行こう

 

自分が辛いな、しんどいな、いつもとは何か違うな・・という気持ちになったら、ためらわずに病院に行かれることをお勧めします。実際に、軽いうつの状態がある時には、時間の経過と共に、調子が回復していく場合もあります。しかし、うつ病は、軽い時に対応出来れば治りも早いですが、重いうつ病になると、治療に時間がかかるだけでなく、しんどさも強くなります。

 自分の甘えなのでは?一過性のものなのでは?と、自分の精神力で乗り越えようとしたり、病気かもしれないということを受け入れることへの抵抗もあるかもしれません。しかし、症状の一つ一つは、身体からのサインであり、SOS信号でもあります。一度病院に行って、相談することをお勧めします。

メンタルクリニックの初診のかかり方については、メンタルクリニックの初診って何をするの?を参照してみてください。

-メンタルクリニック通院手引き

© 2024 三杉達也メンタル研究所 Powered by AFFINGER5