カウンセリング

カウンセラーが話を聴いているだけなのはなぜ?【臨床心理士が解説】

話を聴く

 

悩んでる人
カウンセリング始めたけれど、カウンセラーが話を聴いているだけで。これって話すだけで効果あるんですか?

 

このような質問にお答えします。

 

この記事を書いている人

メンタルクリニックで10年以上臨床心理士・公認心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くの患者さんの治療に携わる機会があります。カウンセリングでは良く起こりえる質問だと思いますので、経験を通してお伝え出来ることがあるだろうと思います。

 

カウンセラーが話を聴く意味

 

「話を聴く」という言葉には、同じような事をしているように感じませんか?

カウンセラーが行う「話を聴く」は、方法だけでなく目的なども違っています

 

悩んでる人
それはどんな違いなの?

 

では、カウンセリングの大まかな流れを考えてみます

 

ポイント

カウンセリングの流れ

  • 話をしても大丈夫という安心感を得られる
  • 話すことで気持ちを発散させる
  • 話すことで問題の整理をする
  • 話すことで、次のアクションに行きやすくする

 

それぞれについて「話を聴く」というポイントで解説します。

 

話をしても大丈夫という安心感を得られる

 

初めてカウンセリングを始めようとする時には相談者はとても緊張します。

 

「何を話せばよいのだろうか?」

「何か変なこと言っていないかな?」

「何か色々と駄目だしされてしまうのかな?」

 

不安もあるかもしれません。

 

それはある意味では自然な気持ちだろうと思います。

 

初対面の人に、いきなり自分の悩みなんて相談できないですよね。この人が安心に値する人だって思えたら、少しずつ自分の話が出来るのではないかと思います。

 

最初にお会いする時に、カウンセラーはその方が安心して話が出来る場であることを感じてもらえるようにと考えます。

この場や人が安心な場所であると感じられることで、その方が自分の思っていることや感じていることを話しやすくします。

 

その為には、まずはちゃんと話を聴くということをします。話を遮ることなく、まずはその方の気持ちを知ろうとする気持ちで聴きます。

 

話すことで気持ちを発散させる

 

話をすること自体に、気持ちを楽にする効果があります。

これを「カタルシス効果」といいます。

 

自分が今まで話が出来なかったことを誰かに話す。

その話を聴いてもらう。

受け止めてもらうことで、自分の気持ちがおだやかになることがあります。

 

1つ例を挙げてみます。

 

40歳過ぎ専業主婦の女性がいます。その方には、12歳の娘と会社員の夫がいます。最近、娘が学校に行きたくないと言い始めて、時折学校を休みがちになります。どこか元気が無さそうです。理由を聞いても、特に・・と話さず、どうしたら良いのか分かりません。夫に相談をしても、「俺は仕事で忙しい。子育ては全てお前に任せているんだから。」と言われ、話を聴いてもくれません。もともと人付き合いは得意ではなく、相談できるような友達や、子ども繋がりのママ友もいません。その女性は、誰にも相談が出来ず、一人で苦しい状態が続いています。

 

このような女性は、残念ながら、多くいらっしゃるのではないかと思います。誰にも相談が出来ず、そして責められ、途方に暮れてしまうような状態です。その上、人と話すことにも少し抵抗がある場合、余計に孤立してしまいます。

 

カウンセリングを受ける中で、自分がとても孤立して心細かっただろう気持ちを聴きます。

時には、自分のせいで娘が不登校になってしまったのではないかと責めて苦しくなっている気持ちを聴きます。

 

とにかく、その方の体験を一緒に聞きながら疑似体験をするように、時間を過ごしていきます

 

その女性にとって、もしかしたらちゃんと聴いてもらえるという体験はあまり無かったかもしれません。すぐに何かしらのアドバイスをされてしまったり、「自分の場合はね・・」と話を取られてしまい、相手の話にすり替わってしまったり。

 

そのように、普段の生活とは違った体験が出来るよう、カウンセラーは話を聴きます。

 

このような場で話をすることで、人は少し気持ちが楽になることがあります。

 

話すことで問題の整理をする

 

話をしていく中で、少しずつ今起きている状況がクリアになってきます。

 

・自分は何に困っているのか

・その困っている状況はなぜ起きたのか

・その困っていることはなぜ今でも続いているのか

 

最初は感情の赴くまま、話をしていたかもしれません。

けれど、少し話を続けていく中で、問題が整理されていきます。

 

相手に話すという行為は、相手に伝わるように伝える行為であることから、物事を少し客観的な位置から捉えて話をすることができます。

 

その為、話をしながら、自分で整理が出来る人もいます。

 

ただ、多くの場合は、カウンセラーと一緒に整理をしていく方が多いという印象です。

ここでのカウンセラーの聴く姿勢とは、問題を整理していく為の聴き方です。

 

「困っている状況の背後にどんな要因があったのだろうか。」

「語られていないことの中で、重要な事がまだあるのではないか」

「今でも困り続けるには、困ること以上に、実は守りたい何かがあるのでは?」

 

などです(当然他にもいろいろありますが)。

カウンセラーは、このようなことを想像しながら話を聴いていることもありますし、時には質問をしながら、「漠然とした不安や困り感について、もう少しくっきりとした枠づくり」を一緒に行っていくイメージです。

 

枠づくりをすることで、今見えていることの課題についてクリアにすることができるようになります。

 

 

話すことで、次のアクションに行きやすくなる

 

話を通して問題がはっきりしてくると、取り組まないといけない部分も分かってきます。

 

漠然としていたり、自分ではどうすることも出来ないと考えていたものが、

よりはっきりとした骨格が見え始め、そして自分が今取り組めそうなことが分かってきます。

 

すると、今までよりも自然と解決に向けたアクションを起こしやすくなります。

 

この時のカウンセラーの聴く姿勢の1つは、相談者にある力(ポジティブな部分)はどこにあるのかを聴いています

 

行動を起こす方法はいろいろあります。

 

1つではありません。

 

この方の持っている力に近いことをアクションとして起こす方が、ハードルは低いだろうと思われます。

 

また、今あるだろう社会的な資源がどこにあるのかなということも考えながら聴いていきます。今は十分に利用が出来ていないけれど、今後その方が利用出来そうな材料となります。

 

その方の趣味でも良いですし、人間関係や、別の居場所かもしれません。使うことができるものを十分に使うことが出来るようになることで、一人で抱えることが減ってきます。

 

先ほどの女性の例で考えてみましょう。

十分な情報が無いので、どのような力を持っていて、どのような社会資源があるのかは分かりません。

しかし、不登校の娘がいるとしたら、小学校にスクールカウンセラーがいるかもしれません。

 

もちろん担任の先生もいます。

そのような学校の先生は、一つの社会資源になるかもしれません。場合によっては、相談して子どもへの関わり方を教えてもらったり、子どもと面接をしてもらうのも手です。

非協力的な旦那さんにも、両親で相談に来るように言われたと話があれば、一緒に相談場所に訪れるかもしれません(男性は、権威的な人に弱いことも多いですからね)。

 

このように、カウンセラーは「聴く」という行動に、それぞれ目的に合わせた聴き方をしています。便宜上、別々の聴き方のような書き方をしていますが、実際には同時進行でこれらを行っています。

 

カウンセラーの「聴く」についてのまとめ

話を聴くまとめ

カウンセラーは「聴くこと」がお仕事です。しかし、それには場面ごとに聴き方が違います。

 

カウンセリングのステージ カウンセラーの聴き方
話をしても大丈夫という安心感を得られる 相談者が安心感・安全感を得られるような環境を整え、相手の話を遮ることなく聴く
話をすることで気持ちを発散させる 相談者の気持ちを知ろうとする姿勢で、疑似体験をするつもりで聴く
話をすることで問題の整理をする 問題の背景に何があるのか?どこに困り感があるのかを、漠然としたものではなく、もう少し明確な枠づくりをしていくように聴く
話をすることで、次のアクションに行きやすくする 相談者の持っている力や利用できる社会資源が何かないかを探索しながら聴く

 

カウンセリングは、このように段階がきれいに分かれてはいません。その為、全てのことは同時進行で行っているのが現状です。

 

それでもやっぱり話をしているだけだな・・・

カウンセラーの意見とかも聴きたいけれどと思ったら、素直にその気持ちを伝えてみるのも一つです。

 

「色々とお話をしてみましたが、先生としてはどんな風に感じられますか?」

 

という質問でも良いかもしれません。

 

あなたにとって安心して話が出来る場にする為には、カウンセラーと対話をしていくことは大切です。それは、短期間で得られるものでは無く、繰り返す時間の中で生まれてくるのかもしれません。

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