うつ病になりやすい人の性格特徴として、とても良い人であると言われることがあります。
なぜ良い人であることが、うつ病になりやすいのでしょうか?
この記事では、良い人でいることによって、起きる3つのデメリットについて紹介します。
うつ病の人が全員、これに当てはまるということではありませんが、
うつ病になりやすい性格傾向と、良い人との関連を知ることが出来ると思います。
この記事を読むことで、これを知ることが出来ます。
✅ 良い人になることのデメリットを知れる
✅ 自分を大事にする生活を意識することが出来る
この記事を書いている私は、メンタルクリニックで10年以上臨床心理士として勤務し、
年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。
私は、多くのうつ病の方とお会いする中で、良い人であろうとすることが、自分自身を苦しめていることを感じていました。
その為、ここでご紹介する考え方や方法が、今うつ病で悩んでいる人や、良い人でいることに疲れてしまっている人にとって、
ストレスを軽減するヒントになれば嬉しいです。
この記事で考える「良い人」とは、
「周囲から期待されているだろう態度で人と関わる人」と定義します。
周囲は自分に対してこんな風にして欲しいと考えているんだろうな・・ということを自分の行動の指針にしている方です。
実際に、そのような行動や考えを期待されているかどうかは関係なく、
「その人がそのように期待されているだろうと考えて行う態度」のことを指します。
(既に、このあたりが、今回の記事の重要なポイントではありますが)
目次
1.自分のネガティブな面を否定することになる
2.相手がモンスターになる
3.自分の気持ちが分からなくなる
4.まとめ【良い人でいるとは誰にとっての良い人なのか?】
1.自分のネガティブな面を否定することになる
良い人であろうとすると、その裏には、悪い人ではいけない・見せてはいけないという思考が働いています。
良い面ばかりを見せようとすると、日頃から人間関係で、笑顔を絶やさず、積極的であろうとするかもしれません。
疲れていても、悩んでいても、周囲からはそんなことを気づかれないように隠そうとします。
人は、ポジティブな面もネガティブな面もあります。どちらかだけにすることは出来ません。
しかし、良い人になろうとすることは、自分のネガティブな部分を常に否定しているんだと知っておく必要があります。
自分の本当の気持ちを押し殺したり、否定することは、周囲に対しては良い印象を与えるかもしれませんが、
自分にダメ出しをし続けていることになります。
そのようなダメ出しが続くと、自分の本当の気持ちを出すことが余計に難しくなるでしょう。
すると、自分の中に感情をため込んでしまい、その内疲れ切ってしまう可能性があります。
!あなた自身が感じていないかもしれませんが、あまりに良い人であろうとすると、それは周囲からすると「痛い人」になっていることもあります。どこか無理しているのが分かってしまうと、本心を隠しているつもりだけど・・・実は嫌なんでしょ?辛いんでしょ?って分かられている可能性があります。気づいていないのは自分だけ・・・なんてこともあります。
2.相手がモンスターになる
自分が常に相手が望んでいる自分でいようと努力をしていると、相手にとってあなたは、とても都合の良い相手になってきます。
本来であれば、相手が解決しないといけない問題まで、あなたが手を貸したり尻拭いをするような「間違えた良い人」で居続けると、その内相手は、自分自身で責任を負わない態度に変わっていきます。
そして、責任を全てあなたのせいにし始めます。
最初は、してもらってありがとうと言っていたのに、やってもらって当然だと考え、その内、
やってもらえないと「なんでやってくれないんだ」と怒り始めたりします。
相手との関係が、平等ではなく、上下関係になってしまうということです。
このようなモンスター化してしまう相手には、自分が常に正しいと考える自己愛的な性格の人が多いこともあります。
しかし、あなたが良い人であろうとすることで、関係性の中で相手をモンスター化させてしまっている可能性もあります。
!良く世間で言う「付き合う男はいつもダメ男」と嘆く女性のパターンに、このような場合があります。
とても周囲に対して優しくて良い人なのに、近寄ってくる男性はいつもダメ男。
自分が引き寄せているのか?自分から近づいているのか?などと悩むことあるかもしれません。
ここには、良い人を演じながらも、実はとても支配的でコントロール欲の強さがあなたにある場合など、複雑な心理的駆け引きがあります。改めて記事にしてご紹介しますね。
3.自分の気持ちが分からなくなる
先ほど紹介したように、自分のネガティブな気持ちを抑えているという状況が続いていくと、
その先には、「自分の気持ちが分からなくなってしまう」といった状態になることがあります。
相手のことを考えることが当たり前になってしまうことで、自分が本当にしたいことはなんだろうか分からなくなってしまいます。
自分の気持ちが分からないと、その場その場の対応は出来るのですが、
後になってもんもんとしたすっきりしない感情が自分の中に残ります。
このような状態になると、「じゃああなたはどうしたいと思っているの?」「自分はこの先何がしたいの?」といった質問に対して、
自分の気持ちや考えが出てこなくなる状態です。
!自分の気持ちが分からないと、自分の人生を自分で選んでいないことになります。
本当は自分が大切にしたいことや夢のようなものがあるのに、隠れて見えなくなってしまう状態です。
ふと一人になった時に、どこか寂しいような悲しい気持ちになってしまうこともあります。
4.まとめ【良い人でいるとは誰にとっての良い人なのか?】
この記事では、うつ病の人が良い人になろうとすることで起きるデメリットについて紹介しました。
良い人であることで、自分のことを否定したり、相手の態度を変えてしまうことで関係性が悪くなったりすることが分かったかもしれません。
そして、最後には自分の気持ちさえも分からなくなってしまうと、自分の人生を歩めなくなるのでは?という、少し怖くなってしまう様なお話もしました。
私は、その人の人生は、その人が判断して決める権利があり、それは誰からも脅かされるものでは無いと考えています。
しかし、「良い人」でいることは、一見、大したことではないと思われるかもしれませんが、本来のあなたらしさを徐々に失う機会となっています。
ではどうすれば良いのでしょうか?
何か相手にしてあげたり、行動に移そうとする時に、一旦立ち止まり、
「これって誰の為?」
「これは私がしたいことかな?」
と考える時間も大切だと思います。
相手の気持ちも大事ですが、
自分の気持ちに耳を傾けてみる意識を持ちながら生活してみることは大切なことでしょう。