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うつ病の完璧主義があなたを困らせる【改善策解説】

完璧主義


うつ病の人の性格特徴の1つに「生真面目な性格」があります。

真面目ではなく生真面目と書いたのは、生真面目とは、真面目さよりももっと固く、柔軟性が無いような印象があります。

どちらかと言えば、ネガティブな印象を持たれるかもしれません。全てのうつ病の人に共通した性格ではありませんが、多くの方に、このような性格が見られ、その性格故に困ったり、疲れてしまうこともあるように感じます。


今回の記事では、うつ病の人に見られる「生真面目な性格」の中でも「完璧主義」について、その5つの特徴を紹介し、改善策についても考えてみます。


私は、メンタルクリニックで10年以上臨床心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。そのような臨床の中で感じることを皆さんにお伝えすることで、今後の治療の一助になってくれたらと期待します。

 この記事を読むことで、以下のことを知ることが出来ます。

 
 ☑ うつ病の人の生真面目な性格によって陥りやすい3つの特徴を知れる
 ☑ 生真面目さを改善させる3つの方法について知知れる




■ 目次  ■

1.完璧主義の5つの特徴
 1.1 ひとつの仕事に時間がかかりすぎて、時間に追われている
 1.2 人に任せるより自分でやりたいと一人で仕事を抱えて苦しくなる
 1.3 優先順位が無いことで、仕事の効率が悪くなる
 1.4 出来ていないところばかり意識し、常に不安を感じている 
 1.5 自分のやり方を変えづらく、人に合わせることが苦手

  2.完璧主義の改善策
   2.1 完璧にやらないことで起こる不安を理解する
   2.2 出来ている部分に目を向ける
   2.3 完璧ではない自分を受け入れる

  3.まとめ【完璧主義という殻をやぶってみよう】


では早速はじめてみましょう。

1.完璧主義の5つの特徴

完璧主義の特徴

 言葉の通り、物事を全て完璧にこなそうとする考え方です。

1個のミスも許さないような正確さを求めようとします。

仕事をきっちりとこなすことで、周囲からの評価を得られたり、なんにせよ自分がそれに納得したいという気持ちが得やすいということがあります。
経理や税理士など正確さを求められる職種では、特に必要とされる考え方でもあるでしょう。

 一方で、完璧主義であることで困りやすい状況も考えられます

 1.1 ひとつの仕事に時間がかかりすぎて、時間に追われている


ひとつひとつの仕事に完璧を求めることで、大変時間がかかります。

ミスが無いようにとチェックをする機会が増えたり、必要な資料を集めたりすることも、とことん行います。

周囲からは、「あんまりそこまで根詰めても良いのでは」と感じる程、
真面目にやろうとしています。


外見は冷静に見られることもあるかもしれませんが、頭の中はフル回転なので、かなり消耗しやすい傾向があります。

 1.2 人に任せるより、自分でやりたいと一人で仕事を抱えて苦しくなる


人にお願いすることが難しい人がいます。

その理由として、もしかしたら相手がミスをしてしまうかもしれないと考えたり、自分の求める水準の仕事をしてもらえない可能性があると考えるからです。

その結果、一人で仕事を抱えてしまうことになりやすいでしょう。

相手のことを信頼することが出来ないことも背景にありますが、それよりも
「自分のやり方を変えることが出来ない」という方が、難しさに繋がりやすいようです。

頭では、もう少しうまくやりたいと考えていても、自分のやり方を変える=ミスが増えるかもしれないというイメージが強く、現在のやり方に固執してしまうのでしょう。

 1.3 優先順位が無いことで、仕事の効率が悪くなる


完璧主義の人は、全ての工程を完璧にやろうとするので、優先順位が持ちづらくなります

「どれも優先順位は高い」といった感覚が起きやすいのです。

その為、細かい部分にも時間を割いて行うなどしてしまうと、結果的に本質的な大事な部分に時間を使うことが出来ない場合があります。

締め切りがあるような仕事だと余計に起きやすいかもしれません。

また、1つのプロジェクトを一人で全て行う場合は良いのですが、工程を分けて行う作業だとすると、なかなか作業が終わらないことで、

「もうそこは良いから早く回してよ」と、
場合によっては周囲から煙たがられることもあるかもしれません。

 1.4 出来ていないところばかり意識し、常に不安を感じている


完璧にやろうとすると、どうしても「出来ていないところ」に注目しやすくなります。

常に問題点を見つけ、改善することが無いかを考える思考は、「マイナスへの注目」になりやすいでしょう。


マイナスへの注目が当たり前になってくると、それは仕事に対してだけでなく、対人関係においてもそのような傾向が出て来ます。

相手の良い部分や出来ている部分への注目をするのではなく、出来ていない部分ばかりを見てしまうので、相手に対して良い感情を持ちづらくなります


また、その完璧主義は、自分にも向いています。


その為、自分が出来ないところばかりを見てしまう為に、

「私は、これができない。」「私はあれが遅い。」などとネガティブな面を見てしまうことで、自分への自信が持ちづらくなるでしょう。

1.5 完璧にやれないと思ったら、最初からやらない


今までにやったことがないことや、少し見通しが持ちづらい課題については、人一倍不安を感じやすいでしょう。

その為、仕事がどうしても同じ仕事の繰り返しになりやすく、新しいことにチャレンジすることを避けるようになります

周りからは、「失敗も経験になるよ」などと言われますが、
どうしても失敗を経験の1つとして捉えることが難しく、
駄目な事・恥ずかしいことのように感じやすい面が多いでしょう。

2.完璧主義の改善策

完璧主義の改善

 2.1 完璧にやらないことで起こる不安を理解する


完璧にやるのはミスをしないことだと分かりましたが、なぜそれ程までにミスをすることを避けたくなるのか?

もしミスをしてしまうと、その先にどんなことが待っているのかといった考え方や気持ちについて理解をする必要があるでしょう。

人によっては、ミスをしたら自分のことが必要だと感じてもらえず、仕事がなくなってしまうのではないかといった、失業(孤立)への不安があるのかもしれません。

または、自分がミスをすると、バカにされて恥ずかしい想いをしてしまうのではないかと不安に感じているのかもしれません。

完璧主義の人が皆さん同じ不安を抱えている訳ではなく、それぞれの方が抱えている不安は違います。


その不安をまずは理解することが大切です。


人によっては、その先の不安を考えると、「あれ?結局何に不安を感じていたんだろう・・・」という方もいらっしゃいます。

「何となく不安に感じているが、その正体はあまり考えたことが無い」ということもあります。


自分が抱える本質的な「不安感」を見ていくことで、自己理解に繋がる場合もあります。

そして、時には、その不安が「それって現実的では無い」と過剰な捉え方をしているのではと、客観的に考えらえることで、今よりも少し不安との距離感が取れる可能性があります

 2.2 出来ている部分に目を向ける


完璧主義の課題として、
「マイナスな面にばかり注目をする」ということを先ほど説明しました。

そのような方は、良い部分への注目が出来なくなっている状態になります。

1つ例を挙げましょう。
あなたが新しい真っ白なエプロンを買って、料理を始めたとします(真っ白のエプロンを、そもそも選択してはいけないかもですが・・・)。料理をしていたら、トマトソースがはねて、5mm程度のシミが出来てしまいました。すると、あなたはそのシミの所ばかりが気になってしまい、どうにかそれを綺麗にしようとします。けれど、そのシミは薄くはなりますが、なかなかきれいになりません。

気になってしょうがないあなたは、そのエプロンをゴミ箱に捨てて、結局料理をすること自体も辞めてしまいます。


少し極端な例かもしれませんが、イメージとしては似ているのではないでしょうか。
他の大部分はきれいなままのエプロン。
そして、まだエプロンとしての機能は果たせるのですが、あなたはシミの所ばかりに注目し、結果全てのことを投げ出したくなっています。


では、どうすれば良いのでしょうか?1つは、自分のことを遠くから客観的に見るような意識を持つことです。

例に挙げたエプロンで考えると、今のあなたとエプロンのシミとの距離は、約20㎝。常に視界にはシミが見えている状態です。
しかし、そのエプロンをハンガーにかけて、5歩ぐらいバックしてから見てみましょう。そこには、ほとんどが真っ白なエプロンがあり、よく見れば少しだけ赤い点が見える感じでは無いでしょうか。少し距離を取ることで、シミ自体が無くなった訳ではにないのですが、白い部分があることが見えるようになるでしょう。

 または、乱暴な方法かもしれませんが、真っ白なエプロンに沢山の赤絵具をかけてしまうという方法もあります。すると、絵具の赤とエプロンの白さがぐちゃぐちゃとなり、細かいシミなどが気にならなくなります。「これも一つのアート」ぐらいに考えられると完璧です。

 2.3 完璧ではない自分を受け入れる


完璧であろうとすることは、自分自身も完ぺきではないと、どこかで既に分かっているからだろうと思います。それを誰かに指摘されるのではないかと周囲を気にしてびくびくしていることが起きています。

 「周囲は自分の鏡である

といった言葉があります。それはつまり、自分が自分のことをどう捉えているかで、周囲が自分をどう思っているかを同じように想像するということです。「自分に欠けている部分を周囲も気づくはず・・・」と考えると、いつも落ち着かなくなることは容易に想像出来るでしょう。


では、どうすれば良いのでしょうか?


自分を受け入れる為には、自分と向き合う時間を持つことが大事でしょう。


これは、先に紹介した 2.1不安を理解する 2.2出来ている部分に目を向ける などのプロセスを通して得られる感覚かもしれません。

自己理解の時間を通して、自分がなぜそのような気持ちになり、そして今の完璧にやろうと行動するのかを理解します。

そのような自分を客観的に理解したうえで、意識的に良い部分に注目をしてみるように日々の生活を送ってみたり、時には、完璧にやろうとしている自分に一旦「待て」をして、今の自分の行動を再度客観的に捉えようとすることも大切ですね。

このように、自分のことが受け入れられていくと、

少しずつ周りのことがあまり気にならなくなります。


周囲が自分をどう評価するかに捕らわれず、自分の基準で動けるようになりやすくなります。

3.まとめ【完璧主義という殻をやぶってみよう】

殻を破る


うつ病の人が持ちやすい性格として、完璧主義があることについて説明しました。

完璧主義が全て悪い訳ではありません。

それによって、得られるポジティブな側面もあるでしょう。

ただ、うつ病の多くの人は、その完璧主義によって、自分で自分の首を絞めるような生きづらさを感じている方が多いのは、残念な事でもあります


今の自分のスタイルを壊すことは、とても怖いことかもしれません。

壊すことによって、自分が守ってきたものが守れなくなってしまう可能性もあるからです。

けれど、壊してみることで、新たに見えてくる世界もあると思います



それは、実は自分の中にある良い面だったり、周囲に転がっているプラスの部分を感じられるという世界です。


一人で、そこに飛び込むことが難しいかもしれません。ただ、少しずつ破ってみる意識を持つことから始めてみませんか?

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