カウンセリングをしていると、アドバイスを求められることがあります。
しかし、実際にはアドバイスをすることは、とても少ないのは事実です。
期待とは違う私の対応に、驚かれるどころか、不満感を感じる方も多くいます。
先日このようなツイートをしました。
カウンセラーがアドバイスをしない理由
✅自分で考えることをやめてしまう
✅自己肯定感が低くなる
✅自分の行動に責任を負わなくなるよくカウンセラーがアドバイスしてくれないと言いますが、言うことによるデメリットがあります
アドバイスよりも、一緒に考えることが大切
ブログで詳しく説明😌— 上杉哲也@上杉哲也メンタル研究所 (@uminokanata2020) July 25, 2020
カウンセリングを受ける人の中には、
悩みを相談する ⇒ アドバイスを貰える ⇒ 実践して元気になる
といったイメージを持つ方が多くいらっしゃいます。
しかし、実際にはアドバイスはプラスにもマイナスにも働くことがあります。
今回の記事では、カウンセラーがアドバイスをしない3つの理由について説明します。
前半では、アドバイスのマイナス面を紹介し、後半では、アドバイスをしないカウンセリングが目指していることを紹介します。
この記事を読むことで、カウンセリングでアドバイスを貰えない理由が理解できます。
今後カウンセリングをする時に、期待と現実の違いをネガティブな方向で捉えなくなれば、嬉しいです。
こんな方におすすめ
- これからカウンセリングを始める人
- カウンセリングでアドバイスをもらえず不満がある人
この記事を書いている人
メンタルクリニックで10年以上臨床心理士・公認心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くの患者さんの治療に携わる機会があります。カウンセリングを通して、それぞれの方の自分を見つけるお手伝いをしています。
目次
カウンセリングでアドバイスをしない3つの理由
結論からお伝えすると、アドバイスがダメというよりは、マイナスに働くことがあります。
その理由としては、以下の通りです。
自分で考えることをやめる
自己肯定感があがらない
自分の行動への責任を負わなくなる
それぞれについて詳しく説明しますね。
アドバイスをすると、自分で考えることをやめてしまう
自分で考えることをやめてしまうことに繋がりやすいでしょう。
カウンセラーからアドバイスを貰えると、「今の状況を伝えれば、良い回答がもらえるはず」と考えてしまいます。
すると、自分でその問題解決の工夫をしたり、悩んだりしなくなります。
一見、楽に思えるのですが、長期的に見るとマイナスです。
なぜなら、自分の問題に対して受け身的な態度が続いてしまうからです。
ずっとカウンセラーのアドバイスが必要な状態が続くということは、カウンセリングを手放せなくなるということです。
アドバイスをすると、自己肯定感が上がらない
アドバイスを貰い続けると、「自分では問題を解決できない」といった意識が植えつけられる可能性があります。
人に頼ることは大切ですし、一人で抱えるのが正しいわけではありません。
しかし、アドバイスをもらうことが当然になってしまうと、「自分には解決できる力が無い」と考えてしまいます。
すると、自己肯定感(自分が出来ると信じられる力)が育っていきません。
アドバイスをすると、自分の行動への責任を負わなくなる
自分の行動は、自分で判断をして行うことが大切です。
誰かの言葉をもらうことは大切ですが、最終的には自分の判断です。
カウンセラーの受け売りで進めてしまうと、もしうまくいかないことがあっても、「あの人がそういったから自分はやっただけ。あの人のせいだ。」と、結果を他者のせいにします。
時には、不満感やイライラに繋がりやすくなります。
つまり、相手に自分の問題の責任を負わせ続けても、結局自分が楽になったり、幸せな気持ちになることからは離れてしまいます。
アドバイスを貰わないカウンセリングで目指すことは?
では、アドバイスを最小限にしたカウンセリングで目指す効果的なカウンセリングとはなんでしょうか?
大切な考え方を3つ紹介します。
試行錯誤をしながら、自分の「良い」をみつけていく
自分で出来るという感覚を身につける
ネガティブな部分も抱えながら生活をしていける力をつける
それぞれが大事なポイントです。
1つ1つ説明してきますね。
カウンセリングを通して、試行錯誤をしながら自分の「良い」をみつけていく
人生において常にうまくいくことはありません。
失敗を乗り越えて人は成長をします。
ある問題が発生した時に、自分なりに様々な方法を試してみたり、結果を踏まえて改善したり、良かったら続けます。
トライアンドエラーで、自分の思考や行動の幅を広げていくことが大切です。
カウンセラーは、相談者の側で、良い方向に行けるようにサポートを続けます。
相談者の、「良い」を見つけられることを目指します。
大けがにならず、経験や知識を得られる程度のチャレンジをすることが大切ですよね。
そのバランスや環境調整をカウンセラーと一緒に考えながら、二人三脚のように歩んでいきます。
カウンセリングを通して、自分で出来るという感覚を身につける
相談に来られる方の多くは、「一人ではどうすることも出来ないから相談に来ました」という人がほとんどです。
けれど、話を聴いていると少しずつ思考が柔軟になっていき、様々な視点で物事を見ることが出来るようになっていきます。
実は、視点や考えは外側から得られるものでは無く、自分の中にあるときづいていきます。
自分の気持ちを信じていくことが出来るようになります。
カウンセラーは、アドバイスではなく、相談者の中にある力を一緒に見つけていくことを目指します。
カウンセリングを通して、ネガティブな部分を抱えながら生活をする力をつける
日々の生活には思ったようにうまくいかないこともあります。
そして、自分の中にも嫌な部分を見つけることもあるでしょう。
改善することも大切ですが、付き合うという姿勢も大切。
ダメな所もあるけど、それも自分
そう思えることで、実は人生が豊かになります。
カウンセラーのアドバイスより、自分で納得することが大切です。
一定の時間は必要ですし、一人で考えると堂々巡りになりがちです。
カウンセラーは対話をつづけながら、自分を受けていれる過程を一緒に歩んでいくパートナーとして存在します。
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カウンセラーがアドバイスをしない理由のまとめ
カウンセラーがアドバイスをしないのは3つの理由があります。
自分で考えることをやめる
自己肯定感があがらない
自分の行動への責任を負わなくなる
アドバイスなしをしないことで得られる3つの効果とは、
試行錯誤をしながら、自分の「良い」をみつけていく
自分で出来るという感覚を身につける
ネガティブな部分も抱えながら生活をしていける力をつける
しんどくて苦しい時に、誰かのアドバイスを求めたくなる気持ちは自然です。
自分ではどうすることも出来ないと考えた時、誰かのアドバイスを聴いて、参考にしながら進んでいけることもあります。
しかし、アドバイスをもらうことが、長期的にはマイナスに働く可能性があることを知っておくことも大切です。
自分の人生を、自らの判断と責任で過ごせることを。
その力が自分にあると信じられることをカウンセリングでは目指していきます。
大丈夫。少しずつやっていきましょう。
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