うつ病の人が相手に対してイライラした時に、どのように対処したら良いか分からず、
過剰に相手を責めてしまったり、逆に相手には向けずに自分を責めてしまうことがあります。
イライラの感情をコントロールすることは実際にはとても難しく、
どうしたら良いのか分からない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、うつ病の人が相手に対してイライラとした気持ちになった時の対処法についてまとめました。
色々な対処法があると思いますが、ここでは、比較的すぐに取り組める対処から段階的にまとめています。
手順書のように、上から順番に試してみるのも良いかもしれません。
年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。
アンガーマネジメントの経験もあることから、ここでご紹介する考え方や方法が、
今うつ病で悩んでいる人のイライラを変えていけるヒントになれば嬉しいです。
目次 1.うつ病の人がイライラを感じたら【最初に試す4つの方法】 2.うつ病の人がイライラを感じたら【考え方を工夫する:中級編】 3.うつ病の人がイライラを感じたら【相手に自分の考えを伝える:上級編】 4.まとめ【イライラするのも疲れますよね】
1.1 6秒数える
1.2 その場から10分離れましょう
1.3 気分の切り替え方法を試してみましょう
1.4 深呼吸をしましょう
2.1 自分がなぜ怒っているのかを言葉にする
2.2 主語を相手ではなく、私は・・に変えて言葉にする
2.3 相手には何か理由があったのかもしれないと考える
2.4 相手の気分は変わりやすいものなんだなと知る
目次
1.うつ病の人がイライラを感じたら【最初に試す4つの方法】
1.1 6秒数える
最初に試してみることは、その場で6秒数える方法です。
これは、「怒りのピークは6秒。その後自然と怒りは下がっていく。」
という統計的な事実からの手法です。
自分でゆっくりと数を数えるようしてみましょう。
1.2 その場から10分離れましょう
それでも怒りが収まらない場合は、その場から一旦離れましょう。
目の前にストレスがある状態で居続けると、気持ちを静めることに時間がかかる場合があります。
トイレに行く、別室に行くなどして物理的に離れることを試してみましょう。
1.3 気分の切り替え方法を試してみましょう
聴覚を使う:自分が好きな音楽を聴いて気分をリラックスさせます 視覚を使う:自分の好きなものや写真などを見て、気持ちを落ち着かせます 嗅覚を使う:自分が落ち着く匂いを嗅いで気持ちを落ち着かせます 味覚を使う:ちょっとしたチョコや飴など甘いものを食べます 触覚を使う:柔らかいタオルやクッション地など肌触りの良いものを触る
自分にあったものがあると思います。
すぐにそれが実践できるように、身近な場所に置いておくことが大切です。
例えば、スマホには自分のリラックスできる音楽や動画、写真などを置いておく/飴を持ち歩くなどです。
1.4 深呼吸をします
深呼吸をすると、副交感神経が優位になり、気分が落ち着くように感じます。
ゆっくりと鼻で息を吸って、吐く・・ということを繰り返します。
呼吸法については、こちらの記事ヨガの呼吸法に学ぶメンタルケアに詳しく書いてあるので、参照してみてください
2.うつ病の人がイライラを感じたら【考え方を工夫:中級編】
2.1 自分がなぜ怒っているのかを言葉にする
自分はなぜそんなに怒っているのかを考えます。
「あの人はなんでいつもそうなんだ」
「あの人は何も分かっていない」
と相手への批判的な考えが出てくると思います。その考えを言葉に出してみることが大事です。
自分の中で悶々としていると余計に大きくなります。
独り言のように声に出してみたり、ノートに殴り書きのように書き出すのも良いでしょう。
2.2 主語を相手ではなく、私は・・に変えて言葉にする
イライラした時の考えは、どうしても主語が相手になることが多くなります。
「あの人が失敗しなければうまくいかなかったのに」など。
相手を主語にすると、どうしても戦闘モードが続きます。
「私は・・・」と自分を主語にして、置き換えてみると良いでしょう。
「私は、あなたが失敗したことに対して、とてもイライラした。
なぜなら、毎回同じようなことを繰り返して反省しているように見えないから。」
「私は、自分が必要とされていないように感じた。
なぜなら、あなたが私の話を聞かずに一方的に話をするから」
注意ポイント イライラモードの時には、感情に支配されてしまいます。私は・・・を主語にすることによって、自分の感情を少し俯瞰した場所から見られるようになります。多少の違いではありますが、感情から思考に変えていくことで、気持ちが落ち着いていきます。
2.3 相手には何か理由があったのかもしれないと考える
相手にイライラしてしまう時に、
「本来ならこうあるべき」と考えてしまうこともあるかもしれません。
ただ、そうできなかった理由があるのかもしれないと考えてみます。
「もしかしたら、体調が悪いのかもしれない」
「もしかしたら、他の仕事に追われていて、そちらの優先順位が高くて後回しになったのかもしれない」
「もしかしたら、やり方が分からないのに、分からないことを言えずにいるのかもしれない」
それらの考えは、事実かどうかは分かりません。
けれど、そんな風に相手に理由があるのかもしれないと考えられると、
あなたの中にある「本来のこうあるべき」から、少し距離が取れるようになるでしょう。
2.4 相手の気分は変わりやすいものなんだなと知る
相手にこうあって欲しいと願うことはしても良いのですが、
人って結構思い通りにならないことが多いなと思います。
その時の気分で態度も変わるし、大勢が違うことを言い始めたら、
手のひらを返したような態度を取ることだってあります。
そんな相手に対していつも同じであることを期待することは難しいと思います。
それは、期待しないということではなく、
「人って気分によって変わるもんだよな・・・・」とどこかで知っておくということが大切です。
どこか自分の気持ちに余裕を持っておくことで、イライラすることが減ってくるでしょう。
3.うつ病の人がイライラを感じたら【考えを伝える:上級編】
これまでは、自分でイライラをどう処理するかを考えましたが、
上級編では、相手と直接対決をします(笑)
中級編までが出来て来ると、マックスのイライラ状態から、少し落ち着いてきている可能性があります。
ここでは、DESC法というやり方を紹介します。
DESC法とは?
自分の意見を主張する際に、自分の意見も正しく伝え、
相手の判断も尊重されることを目的としたコミュニケーションスキルにアサーションがあります。
その手法の中心となる方法が、DESC法と言います。
これは、それぞれの英語の頭文字を取っていて
D:Describe(描写する)客観的な視点から、事実を伝える E:Express(表現する)自分の意見を伝える S:Specify(提案する)相手に自分の要求を伝える C:Consequences(結果を伝える)提案したものが、相手に実行されたか否かによって、自分の行動を選択する
となります。
少し分かりづらいので、例をあげますね。
相手が1時間遅刻してきて、あなたはとてもイライラしている
怒りをぶちまけるパターン いま何時だと思ってるの?約束の時間忘れてたわけではないよね?なんで遅れてくる訳?こっちの身にもなって考えたことある?私個の暑い中、ここでずっと待たされてたんですけど。マジあり得ない。
自分の気持ちを抑えすぎる ううん、全然大丈夫・・・私も今着いたところだから(嘘)。 え、全然平気。だって色々あるじゃん。出発前に髪形決まらなかったり、親から色々言われたり(あまり関係ないのだが・・)。だから、全然お互い様でしょ(しんどい)
DESC法を使ってみた 約束の時間から、既に1時間すぎているよね。(Describe) 私は、約束の時間を間違えてしまったのか・事故にあったのではないかってすごく心配したよ。(Express) だから、時間通りにはちゃんと来て欲しい。(Specify) もし何か事情があって遅れることがあるのなら、LINEで教えて欲しい。そうしたら、私も涼しい場所で本でも読んで待っていられるからね。(Consequences)
違いが分かるでしょうか?
少し極端な表現になっているかもしれませんが、よくあるパターンでは無いでしょうか。
相手を責めすぎてしまうことなく、かと言って自分の気持ちを我慢しすぎてしまわないようにする表現方法です。
相手と建設的な話し合いをする上で、相手にどのような言い方をすれば、相手も受け止めやすいだろうかを考えることは大切な事だなと思います。
4.まとめ【イライラするのも疲れますよね】
うつ病の人にとって、普段から気持ちのアップダウンで疲れやすい上に、イライラをすると余計に疲れを感じるでしょう。
イライラするだけでなく、その後も気持ちを引きずってしまうと、他のことも嫌になってしまうこともあるかもしれません。
今回紹介した方法を使って、少しでも気持ちのコントロールしやすくなれたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。