精神科に通院するようになると、
何かと経済的に厳しくなってきます。
会社をお休みすることで、
収入が減ってしまいます。
継続的な通院が必要になれば、
医療費がかさんでしまいます。
経済的な理由で通院が出来ないと、
症状が悪化してしまう可能性があります。
この記事では、休職中に使えるお金に関する5つのサポートを紹介します。
記事の前半は、5つの公的なサポート。
後半は、すぐにでも出来る3つの方法を紹介。
休職中でもお金に困らない生活を獲得し、ゆっくりと身体を休められるようにしましょう!
この記事を書いている人
休職中に支払いを減らす3つの制度
まずは、支出を減らす方法が大切です。
ここでは3つの公的なサービスを紹介します。
自立支援制度
障害者手帳
納付猶予制度
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
自立支援制度は、医療費を減らします
医療費にかかる負担金を減らすための公的な制度です。6か月以上の継続的な通院が必要だと認められた人が利用できる制度になります。
自立支援制度のメリット
・通常3割負担の医療費が1割負担まで軽減される(指定の医療機関・薬局)
・治療費の上限あり(世帯所得や治療内容に応じて)
上限があることで、月々の医療費が抑えられるだけでなく、あらかじめ自分の生活資金の予算を立てておくことが出来ることもメリットになりますね。
・デイケアや訪問看護にも使える
診察だけでないのはありがたいですね・・・
・職場に連絡されない
自立支援制度の対象者は【所得区分】
所得区分 | 世帯所得状況 | 年収(手取り) | 月額負担額 | 「重度かつ継続」の場合の上限額※ |
生活保護 | 生活保護 | 0円 | 0円 | 0円 |
低所得1 | 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円以下 | 約80万未満 | 2500円 | 2500円 |
低所得2 | 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円より上 | 約80万~100万未満 | 5000円 | 5000円 |
中間所得1 | 市町村税の納税額が3万3000円未満 | 約100万~150万未満 | 「高額療養費」の限度額が上限(57600~81000円) | 5000円 |
中間所得2 | 市町村税の納税額が3万3000円~23万5000円未満 | 約150万~500万未満 | 10000円 | |
一定所得以上 | 市町村税の納税額が23万5000円以上 | 約500万~ | 対象外 | 20000円 |
※また統合失調症などの長期間継続した診察が必要だとされる方は、「重度かつ継続」という区分が適用される為、別の枠で自己負担額の上限が決められます。
自立支援制度を申請する場所
市区町村の障害福祉課などが窓口になります。
障害者手帳は、生活の支出を減らします
障害のある方が取得できるサービスのことです。障害の種類や程度によって、様々な福祉サービスを利用することが出来ます。
ここでは、精神障害者保健福祉手帳について説明します。
障害者手帳のメリット
以下に挙げるサービスの減額があります。
・NHK受信料
・携帯電話料金
・上下水道料金
・住民税・所得税・相続税
・美術館や動物園などの公共施設の入場料
・鉄道・バス・タクシー等の運賃
・コープ・生協の配達手数料
・軽自動車税
・駐車場利用料
携帯電話料金や水道料金は、
休職中にも支払いが必須なもの。
減額されるだけでも助かります。
障害者手帳の対象者
日常生活や社会的な生活が、一定の期間は制限ががかかる精神疾患の方が申請できるものです。
例えば、以下の精神疾患が一例として挙げられます。
・統合失調症
・うつ病、そううつ病などの気分障害
・てんかん
・薬物やアルコールによる急性中毒またはその依存症
・高次脳機能障害
・発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
・その他の精神疾患(ストレス関連障害など)
診断については、担当医に相談してみましょう。
障害者手帳を申請する場所
お住いの市区町村が窓口となります。
納付猶予制度は、公的な支払いを延ばします
国民年金保険料の納付が経済的に難しくなった場合に、その納付が免除になったり、猶予になったりする制度のことです。
納付猶予制度のメリット
・年金の支払いを一時止めて置ける。
・万が一事故になって、その事故による障害を負った時に、障害基礎年金の受給資格を確保することが出来る
・10年分は、後からさかのぼって支払うことが出来る
納付猶予制度の対象者
・50歳未満の国民年金を払うことが難しい人
・収入が「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円」以下の場合(57万円(単身)92万円(既婚者)以内
納付猶予制度を申請する場所
市区町村の障害福祉課などが窓口になります。
休職中にお金を獲得する2つの方法
支出を減らしただけでは生活できません。
ここでは、収入を得る方法を2つ紹介します。
傷病手当金は毎月お金が入ってくるサービスです
傷病手当金は、病気やケガなどの理由により、会社をお休みになっている方が、給与の約3分の2の支給額を最長1年6か月受けられる制度になります。
※自営業者や個人事業主は該当しません。
傷病手当金制度のメリット
・会社で働いている人(健康保険には既に加入済み)
・健康保険に加入している派遣社員の人やパート社員の人
・働くことが出来ない状態なら、どんな病気かケガかは問われません
・支給途中で退職しても、もらい続けることができます(条件あり)
傷病手当金制度の対象者
病気やけがにより、仕事ができない被保険者が対象です。
- 業務外の病気やケガで療養中であること。
業務上や通勤途中での病気やケガは労働災害保険の給付対象となりますので、労働基準監督署にご相談ください。
なお、美容整形手術など健康保険の給付対象とならない治療のための療養は除きます。 - 療養のための労務不能であること。
労務不能とは、被保険者が今まで従事している業務ができない状態のことで、労務不能であるか否かは、医師の意見及び被保険者の業務内容やその他の諸条件を考慮して判断します。 - 4日以上仕事を休んでいること。
療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間(待期期間)を除いて、4日目から支給対象です。 - 給与の支払いがないこと。
ただし、給与が一部だけ支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給されます。
出典:全国健康保険協会
傷病手当基金を申請する場所
それぞれの保険協会に問い合わせください。
会社の人事から連絡があることも多いですが、個人会社で、過去に手続きをしたことがない場所では、知らない可能性もあります。保険者に問い合わせをするのが良いでしょう。
詳しい手続きを知りたい方は、【失敗しない】傷病手当の手続きを臨床心理士が解説【メンタルクリニック】を参照
障害年金は、障害の重さで支援金が変わる制度です
障害年金とは、病気や障害のある人に対して行う公的なサービスとのひとつです。
障害年金制度のメリット
月々定期的に年金が支給されるので、経済的に破綻しないで済みます。
障害年金制度の対象者
条件1:国が定めた障害認定基準に該当する障害があること
条件2:20歳から64歳
条件3:初診日以前の年金の納付状況に問題がないこと
条件4:初診日から1年6か月が経過していること
障害年金の支給額
障害認定の等級や初診時の保険加入状況によって違ってきます。
障害基礎年金 |
障害厚生年金 |
|
1級障害 |
97万4125円+子供加算 |
(報酬比例年金額)×1.25 +配偶者加給年金額 |
約8万円/月 |
約16万円/月 |
|
2級障害
|
77万9300円+子供加算 |
(報酬比例年金額) +配偶者加給年金額 |
約6~7万円/月 |
約12万円 |
|
3級障害
|
|
(報酬比例年金額) ※最低保証:58万4500円 |
約5~6万円/月 |
||
障害手当金 |
|
(報酬比例年金額)×2 ※最低保証:116万9000円 |
約10万円/月 |
障害基礎年金:初診日に、国民年金加入者/未成年/生まれつきの障害
障害厚生年金:初診日に、厚生年金加入者
障害年金を申請する場所
年金事務所が窓口になります。しかし、様々な書類が多い為、自分で行うことが難しいかもしれません。その時には、社労士事務所に問い合わせをすると、取得する方法や資料作成に関するサービスをしてくれる場所もあります(有料)。
休職中に使えるお金のライフハックは3つ
休職中は、公的な援助をフルに使うのは大切。
けれど、自分でも出来ることがあります。
ここでは、日常生活で使える3つの方法を紹介します。
お金を使わないで外出するなら図書館が一押し
これから復職を目指す時、少しずつ外出の機会を増やしていきます。
仕事に行ける状態を作るために、
一定の時間に起床して、身支度をして出発。
近くのファミレスや、ネットカフェなどに出かけるのも一つですが、どうしてもお金がかかります。
そんなときは、近くの図書館を利用するのがお勧めです。
図書館なら
周りがしずか
事務作業をすることが出来る
長居しても文句を言われない
仕事関連の本を読める
もちろん無料
気候にも、周囲にも左右されず、
落ち着いた環境で過ごすことが出来ます。
お金を使わずに復職を目指していきましょう。
不用品を販売しよう【メルカリの利用】
休職中は、収入を得るためのアルバイトは出来ません。
隠れてアルバイトをする人もいますが、結局ばれてしまいます。
もちろん例外もあります。
会社や主治医が、アルバイトをすることで、復職するためのリハビリになると判断した場合が、その一つです。
しかし、アルバイト代金は、傷病手当と相殺され、結果的に実入りは一緒。
だから、身体を慣らす目的なら良いですが、
収入目的には難しいのです。
そんな時は、家にある不用品を販売してみてはどうでしょうか?
メルカリなどを利用すれば、数千円。
またはそれ以上に化けることだってあるでしょう。
家の中がきれいになるし、一石二鳥。
メルカリを使って生活環境完全もひとつです。
休職中なら、実家に帰るのもひとつ
休職中でも、出費はあります。
体調が悪ければ、交遊費はへりますが、食費や水道光熱費はかかります(家にいる分、普段以上になります)。
いま、一人暮らしをしているなら、
実家にて静養するのもひとつ。
自室があり、ご家族の理解があるなら、
ゆっくり休むことだってできます。
生活するための費用を助けてもらうことができます。
ただし、ご家族との関係によっては、余計なストレスがかかってしまう場合もあります。
「いつまで寝てるんだ。」
「もう元気なら、仕事に戻れ。」
あれこれ言われてしまう可能性はあります。
実家に戻る際には、
リスクがあるのも想定しておきましょう。
お金の安定は、休職中は必須項目なんです。
精神科の通院は、比較的長くかかる場合があります。
メンタルの不調がある時には、会社を休職する時期が出てくると思います。
経済的な圧迫があったり、先行きの見通しが立たない状況は、余計にメンタルの不調につながりやすくなります。
その為、紹介した公的なサービスを上手に利用して、安定した治療を続けられる体制を整えることが重要です。
紹介した支援制度は、自分で調べないと出てこない場合もあります。
自分がこれらに適応するのかどうかは、主治医の先生や、市役所の方などにご相談してみるのが良いでしょう。