メンタルクリニック通院手引き

ヨガの呼吸法に学ぶメンタルケア

ヨガの呼吸法とメンタルケア

 気持ちがどきどきしたり、不安に感じた時に、「一回深呼吸をして」と言われたことはあるのではないでしょうか?多くの方が、深呼吸をする=気持ちを落ち着かせるといったことへの理解はあると思います。しかし、私がカウンセリングをしている時に、呼吸法について話題が上がると、当然分かっています・・という感じになりやすく、もっと良い方法が無いのか?と軽く感じられてしまう面も多いなと感じます。

 その理由として、誰でもすぐに出来る手軽さが、効果も含めて軽んじられるのかもしれません。簡単=効果が薄い となっている可能性があるとすると、とても残念です。

 ここでは、改めて呼吸法について紹介します。色々と方法はあるのですが、その中でもメンタルの安定に繋がりが深い「ヨガ」で実践される呼吸法を紹介しようと思います。最後に、呼吸法と笑いによる効果についても説明しますね。

簡単だけど、効果あり。早速始めましょう

目次

1.なぜ呼吸法がメンタルの安定と関係があるの?

2.ヨガの呼吸法の特徴とは?

3.家でも出来る呼吸法とは?

4.呼吸法×笑い=効果アップ?

5.まとめ

1.なぜ呼吸法がメンタルの安定と関係があるの?

 人間には自律神経があり、それは交感神経と副交感神経の2つに分かれます。交感神経は主に昼間活動している時に活発になります。スポーツをしたり仕事でバタバタと忙しくしている時には、交感神経が優位になっている状態です。逆に副交感神経は、リラックスしている状態の時に活発になります。マッサージを受けた後、お茶を飲んでのんびりしているなどの時に優位になっています。つまり、副交感神経が優位になっているとは、気持ちがゆったりと過ごせている状態であるということです。

 人間が活動するためには、交感神経と副交感神経の両方が必要になりますが、とかくストレスの多い生活を送っていると、交感神経が優位な状態が続きます。常に緊張や不安を感じている状態が続くと、身体が疲弊してしまい、その結果体調不良やメンタルの不安定に繋がります。ただ、この自律神経は、意識して動かすことは出来ず、自然と機能しているものです。その為、環境に適応することを優先させていくと、自然と身体は交感神経優位な方向に進んでしまいます。また、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏によると、副交感神経は加齢の影響を受け、男性は30歳以降、女性は40歳以降から副交感神経の活動レベルが徐々に低下していくといいます。その為、意識的に副交感神経を活性化させることは必要な事になります。

 では、どのように副交感神経を活性化させたら良いのでしょうか?

 そこで手軽かつ効果的な方法として取り上げられているのが、呼吸です。適切な呼吸法は、副交感神経を優位にさせることが、多くの研究からも実証されています。また、うつ病を含むメンタル不調に悩む人たちにも一定の効果が見られているという研究もあります。

オーストラリア版「ウィメンズヘルス」によれば、週2回のヨガがうつの症状を大きく緩和することが2017年の米国心理学会コンベンションで発表されました。

それによれば、25~45歳の52名の女性を、週2回×8週間のビクラムヨガを行うグループと、何もしないグループに分けたところ、ヨガを行ったグループのうつ症状が大幅に改善されていたことがわかったとのことです。

引用元:ウィメンズヘルス

 昔から、「緊張したら、深呼吸をしよう」と言われた機会があると思います。実際にその効果はありますし、何より「深呼吸=落ち着く」という意識を持って行うことで、より効果を感じることもあるでしょう。

2.ヨガの呼吸法の特徴とは?

ヨガのメリット呼吸法

 では、呼吸法として、なぜヨガの呼吸法が良いのでしょうか?ヨガとは、呼吸や姿勢、そして瞑想を組み合わせて、心身の緊張をほぐし、心の安定とやすらぎを実感し、生活を豊かにする方法です。どうしてもヨガをイメージすると、ポージングをイメージする方は多いかと思います。しかし、それ以上に大切にしているのが呼吸法で、ヨガには様々な呼吸法を用いて行います。目的や状態に合わせて呼吸法を用いながらエクササイズしていきます。また、日々その呼吸法を練習しておくことで、気持ちを安定して過ごしやすくなることもあります。「緊張した時不安になった時に呼吸を意識しよう」と思っても、なかなか出来ないものです。日々の生活の中で、意識して取り組み続けることで、そのような危機的な状況を乗り越えやすくします。

3.家でも出来る呼吸法とは?

家で出来る呼吸法

◎腹式呼吸

 息を吸いながらお腹を膨らませて、吐く時にお腹をへこませる呼吸を、腹式呼吸といいます。これは、肺の下にある横隔膜を刺激することを目的にしています。理由は、横隔膜には自律神経が集中しているため、横隔膜をしっかりと動かすことでバランスを整えることができるといった効果があります。

 効果:気持ちを落ち着けたり、リラックスしたい時

 方法:背筋を伸ばして(または横になって)、鼻からゆっくり息を吸い込みます。このとき、おへその下に風船があって、それを膨らませていくイメージをします。その後、口からゆっくり息を吐き出します。お腹をへこましながら、身体中の空気を出し切ります。その時、吸う時間の倍の時間をかけて吐きます(吸うのに5秒かけて、吐くのに10秒)回数は1日5回くらいから始め、慣れたら少しずつ増やし、10~20回が出来ると良いでしょう。

◎片鼻呼吸

 左右の鼻の穴で交互に息を吸ったり吐いたりする呼吸を、片鼻呼吸といいます。

 効果:身体のバランスを整える

 方法:右手の親指で右の鼻、薬指を左の鼻に持っていき軽く押さえます。まずは、左の鼻からゆっくりと1秒ずつ数えるように空気を取り入れていきます。その後、お腹いっぱいに空気が入ったら、薬指で左の鼻を押え、親指を離して右の鼻から空気を抜いていきます。6秒で吸って、6秒で吐く、を繰り返し、慣れてきたら少しずつ長くしていくイメージで行うと良いでしょう。

4.呼吸法×笑い=効果アップ?

ヨガの呼吸と笑い

 ラフターヨガと呼ばれる「笑いと呼吸法を掛け合わせたヨガ」というのがあります。元々、笑うことによるポジティブな効果は実証されており、免疫力のアップや思考力や集中力の向上、身体へのリラックス効果があるとされています。それに、これまで紹介をした「呼吸法」を取り入れることで、更に効果が上がると考えられます。集団で行うことによって、ちょっとしたことが笑いのきっかけとなり、集団全体に笑いの雰囲気を作り出すことがあります。最初は作り笑い(それでも効果があります)をきっかけに、最後は全体が笑いで繋がっているような体験になります。「家で一人にやにやしながらやっているのはおかしい?」と思われるかもしれませんが、家族や友人と一緒に呼吸法について試してみながら、楽しい時間を過ごすことだけでも、こころに安心感をもたらしてくれるかもしれませんね。

5.まとめ

 ここでは、メンタルの不調に対して、ヨガの呼吸法を取り入れ方について説明をしました。すぐに実践できることだと、「いつでもできる」とおざなりになってしまうこともあります。ただ、呼吸法の効果は大きく、日常生活に取り入れることによって、気持ちを安定させるだけでなく、不安定になりそうな場面でも、自然と日々の方法を用いることがしやすくなるでしょう。一人で始めるのも良いですが、ご家族や友人(身体への負担も少ないので)などに紹介をしながら、楽しく試してみるのも良いでしょう。

参考

https://www.daiwa-pharm.com/info/onko/426/

 

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