うつ病の再発率はとても高いと言われています。
ここで問題です。あなたがうつ病から回復した人として、5年後に再発・再休職になる確率は何%でしょうか?
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・・・・・・(さっさと答えを言えよ・・・)
正解は、47.1% 約2人に1人は再発して、再休職になると言われています。
そして、再発をすると、治療期間や休職期間は長くなることが統計的にも実証されています。
つまり、繰り返すと、症状は悪化もしくは、予後が良くないということ。
なるべく再発をしないで、治療を進めることが大事であることが分かります。
じゃあ再発しないためにはどうすれば良いの?
この記事では、うつ病のを再発しないようにするためにはどうすれば良いのかを解説します。
この記事を読むことで
記事の内容
- うつ病が再発する5つの原因について知れる
- 再発をしない為の方法を知れる【チェックリストあり】
この記事を書いている私は、メンタルクリニックで10年以上臨床心理士として勤務し、年間1000件以上のカウンセリングを通して多くのうつ病の方の治療に携わる機会があります。うつ病で休職中の方が通うリワークデイケアにてプログラムを実施しており、うつ病の方の復職や再発のリスクについての専門性はあると思います。
この記事を読むことで、再発防止に向けたヒントになれば幸いです。
目次
1.うつ病が再発する3つの原因
1.1 薬や通院を自己中断してしまう
1.2 ストレスへの対処法が身についていなかった
1.3 新たに別のストレス要因が出てきた
2.うつ病を再発・再休職しない為にはどうすれば良いか
2.1 ドクターと相談する
2.2 自分自身の状態をモニタリングする(チェックリストあり)
2.3 カウンセリングを利用する
3.まとめ【焦らずに行きましょう】
では、さっそく紹介します。
目次
1.うつ病が再発する3つの原因
1.1 薬や通院を自己中断してしまう
体調が回復してくると、通院や内服を辞めてしまう人がいます。
しかし、自己判断で止めるとうつ病の再発率はあがります。
その理由は、
①うつ病の薬には、症状の改善だけでなく、安定の維持があります
風邪などの症状では、身体の調子が良くなってきたら、薬を飲むのを止めることが一般的ですね。
しかし、メンタルの治療では、症状の安定を目的に薬を飲みます。
自己中断の場合は、副作用が起こりやすかったり、再発後の効果への悪影響もあります。
②通院をする=自分の身体に目を向ける機会となる
良くなってきたにも関わらず、通院をするのは面倒です。
しかし、通院をするということを通して、自分の身体への注意を促します。
後述するチェックリストの内容も含めて、主治医の先生と身体のことに向き合う時間を取りましょう。
③部分的に症状は続いていた(不眠)
休職する前の状態よりも安定しているのですが、一部の症状だけが残っている場合があります。
例えば、不眠などです。
不眠が続くと、日中疲れやすくなったり、仕事への集中力が減ってきます。
その結果、周囲から注意をされたり、思い通りにならずにイライラすることもあるかもしれません。
その後、メンタル不調に繋がり、再発してしまうリスクが高まります。
不眠をそのまま放置しておくリスクの高さは注意が必要でしょう。
1.2 ストレスへの対処法が身についていなかった
そもそも前回復職するタイミングでは、十分な準備が出来ていなかった場合もあります。
①体調が戻ったように感じられて復職をした
うつ病の体調には波があります。
調子が上がったタイミングで「良くなった大丈夫」と安易に動いてしまうと、
その後気持ちがダウンしてきた時には、すでに復職している。
引くに引けなくなってしまっているパターンはあります。
②休職時と同じ環境に戻っている(同様のストレスを感じる)
休職になった時と同じ環境に戻っていると、同様の出来事がストレスに感じやすくなります。
環境とは、仕事量や内容、人間関係、残業の有無、期待される役割などなど。
最初の1,2か月は残業制限がかかっていたり、リハビリ的な仕事内容からスタートすることが多いです。
しかし、その時期を過ぎると以前と同じ環境で働いています。
残念ですが、「再発は、なるべくしてなっている」とも考えられます。
③ストレスの対処法を身につけていない
環境があまり変わっていない場合でも、捉え方が変われば違います。
同じストレスでも、正面から受け止めず、流せれば楽になることもあるでしょう。
以前と同様のストレス対処をすることで、メンタルが悪化する可能性があります。
1.3 新たに別のストレス要因が出てきた
①大切な人との別れ
ストレスの中でも、最も高いストレスは「喪失体験」です。
誰か大切な人と別れたり、失ってしまうことは、ストレスがかかります。
新たなストレスの負荷がかかると、身体のバランスを崩しやすくなります。
②異動や引っ越しなどの大きな環境変化
以前の職場から、異動(転職)をした方もいるかもしれません。
新しい仕事を覚えたり、人間関係の構築。
日々のルーティンも変わったかもしれません。
新たな気持ちでスタートした面は良かったかもしれませんが、新しいストレスもあるかもしれません。
③人間関係のトラブル
人間関係のストレスは職場のストレスの中でも多く聞かれます。
プライベートなら切ってしまえば良いのですが、仕事だとそうもいきません。
上手に付き合う方法は仕事をする上で重要なスキルになります。
2.うつ病を再発・再休職しない為にどうすれば良いか
2.1 ドクターと相談する
ドクターと今後の治療について相談をすることが大切です。
もし薬への抵抗が強い場合は、減薬の希望を伝えるのも良いでしょう。
一部の症状(例:不眠)が残っているようなら、その症状のみの治療に変えていくなども出来るでしょう。
2.2 自分自身の状態をモニタリングする(身体の変化に気づく)
定期的に自分の身体に目を向ける時間を持ちます。
以下のチェック項目を定期的に確認することで、身体の変化を早めに気づけるようにしましょう。
ストレス要因と対処法を考える
✅ 現在ストレスや不満はあるでしょうか?
✅ ストレスは、いつ頃から、どのように続いていますか?
✅ そのストレスは、生活にどの程度影響がありますか?
✅ ストレスに対してこれまで何かしましたか?結果どうでしたか?
✅ その他に解消する方法はあるでしょうか?
✅ 良い方法を知っていたり、助けてもらえる人はいるか?
自分の状態を、少し距離を持って客観的に捉えるようにすることによって、自己理解に結びつきやすくなります。
2.3 カウンセリングを利用する
上記のようなチェックリストをカウンセラーと一緒に行うことも出来ます。
もし早めに変化に気づいた場合には、カウンセラーと一緒に対象法を考えることも出来ます。
かかりつけのメンタルクリニックにカウンセリングがあれば、お薬や体調の相談をドクターと行いつつ、自分のことをカウンセラーと一緒に話をしていくことが出来ます。
話をするだけでも、ストレス発散になることもあります。
カウンセリングの料金
カウンセリングはお金がかかる場合が多いですが、再発・再休職のリスクを減らすことを考えれば、多少の出費を抑えるよりも、長期的に考えた場合には、必要経費と考えることも出来ます。
自分との付き合い方を知っていくことが出来れば、お薬同様にカウンセリングも徐々に減らすことは可能でしょう。
3.まとめ【焦らずに行きましょう】
うつ病の再発・再休職の原因と対処法について紹介しました。
うつ病の再発率の高さ(5年以内に2人に1人)を考えると、
ある程度調子が戻ってからも継続的なお薬の治療と、
定期的なセルフチェック(カウンセリング)の必要性があることが分かります。
うつ病の時期を振り返ると、とても苦しかったし、戻りたくないと思うのは自然です。
なるべくそこに戻らないようにと、考えないようにするのも自然です。
しかし、急いで薬を切ったり、以前の働き方に戻ろうとするのは、再発のリスクを高めます。
遠回りのように思うかもしれませんが、定期的に通院は続け、
自分の体調を見ながら、上手に自分と付き合っていく方法を探していくことが、
最短かつ効果的な治療法になるだろうと思います。