メンタルクリニック通院手引き

メンタルクリニック薬物療法以外の治療法6選

薬物以外の治療方法

 気持ちの落ち込みやしんどさを感じた時に、初めてメンタルクリニックに行くと、多くの場合は、その困り感や症状の改善を目的に、お薬が処方されるケースが多いと思います。そういったお薬は、症状改善には不可欠の場合もあり、頭から拒否をしてしまうと、治療の選択肢が減ってしまったり、場合によっては治療期間が伸びてしまう可能性もあります(詳しくは、精神科初診で 薬ってすぐに出されるのか心配を参考にしてください)。一方で、お薬以外の治療選択はないのでしょうか?お薬を飲むこと以外に、自分として取り組める治療はないのでしょうか?

 ここでは、薬物療法以外に、メンタルの治療を行う上で効果的だと考えらえる方法についてご紹介します。その方の状態や目的によっても選ぶ選択肢が変わってくると思いますが、薬物療法と並行して行うことにより、治療効果が高められることは実証されていますし、私が現場で働いていても実感するところです。ここでは、集団で行うもの(集団療法)と個別に行うもの(個別療法)に分けてご紹介します。

 では、さっそくご紹介していきましょう!

集団療法

■集団療法

集団療法とは、同じ症状や目的を持った人たちが集まり、スタッフがその場をまとめる形を取りながら行う心理療法です。個人を対象にしたものとの大きな違いとしては、集まった人同士がお互いに影響をし合い、学びの場になること。そして、過去のことよりも現在その場所で起きていることを中心に取り組んでいくことになります。

◎リワークデイケア

目的:メンタルの不調によって職場を休職されている人が、職場へ復職することを目的に、定期的に通所する場所です。


対象:休職中の人。回復期(日常生活のリズムが少しずつ整い始め、日中の活動はある程度行うことは可能。少しずつ復帰に向けて動けるようになっているが、何をしていったら良いのか分からない)にいる人。


内容:生活リズムの改善・コミュニケーショントレーニング・再休職しないためのスキルと考え方を身につける。集団認知行動療法

時間:6時間程度

料金:800円程度(自立支援制度を利用の場合:お昼ご飯が含まれている場所もあります)

特徴:リワークデイケアでは、復職をするという同じ目的を持った方たちが集まって過ごします。休職になった背景は様々ですが、共通点などを見出すことで、自分だけではないという気持ちになることが出来ます。利用される人同士が学び合うことにより、復職をより効率的に行うことが出来ます。また、それぞれの利用者が抱える課題(多くの場合、休職に至った要因)について振り返りを行うことをする場所もあります。予め対処法を身につけて復職出来ることにより、再休職(再び休職になってしまうこと)を防ぐ効果もあります。言うなれば、職場復帰後の状況を疑似体験し、様々な失敗も重ねながらも修正し、職場を復帰することを行います。 

詳しく知りたい方は、失敗しない復職にはリワークデイケアへ行こう を参照してください

◎居場所型デイケア

目的:社会活動への参加


対象:体調不良により社会活動に参加が難しい人

内容:家の外以外で過ごせる時間を持つこと・生活リズムを作ること・日常生活を送る上でのスキルを見つける・料理や手芸など作ることを目的としたプログラムや、近くの公園まで一緒に出掛けてみるといった活動など。

時間:6時間程度(短時間もあり)

料金:800円程度(自立支援制度を利用の場合:お昼ご飯が含まれている場所もあります)

特徴:居場所型デイケアに参加される方の目的は人それぞれ違う場合が多いです。日中過ごす場所がどうしても家の中になってしまう傾向が強いために、外でも安心して過ごせる空間の利用として使われる方もいらっしゃいますし、少しずつ他の人と過ごすことに慣れていくことを目的にされている方もいます。広い意味では、「社会活動への参加」となります。病院から退院した後の生活習慣として利用したり、高齢者の方々が多く利用されている場合があります。

詳しく知りたい方は、居場所型デイケアって何?を参照してください。

◎ピアサポート/自助グループ

目的:同じテーマで困っている人たちが集まり、テーマについてそれぞれの体験を話をしたり、支え合うことによって、生活を安定して豊かに過ごせるようになること。

対象:特定の疾患別(例:発達障害・双極性障害・アダルトチルドレン)困っていること(アダルトチルドレン・家族を自殺で失ってしまった家族・虐待を経験している)など 

時間:2時間程度~ 特徴:同じ課題を抱えている人たちが集まり、それぞれの体験について話をしたり、それを受け止めてもらう体験を通して、自らの生活を見直したり、安定した生活を送ることを目指していく場合が多いです。例えば、アルコール依存症のグループでは、過去及び現在において、アルコールを飲むことによって失敗してしまった体験などを他のメンバーの方の前で話をしていきます。話をすることや、他のメンバーの話を聞くことを通して、仲間意識を持てることもあると思います。また、自分の体験(自分が乗り越えた方法)などを誰かに伝えることで、受け手の方が試してみようと思えるかもしれませんし、自分が伝えられることが、自尊心の向上に繋がることになります。

自助グループの詳細は自助グループのメリットとデメリット(アダルトチルドレン)を参照してください。

個人療法

■個人療法

 個人療法とは、支援者と1対1の関係の中で、個々の課題や困っていることについて、理解を深めたり、対処方法について一緒に考えたりする療法です。集団療法と比べて、個別の関わりが多いことから、話をする内容や方向性も柔軟に変更しやすいことや、他の人について気にする必要が無くなるため、対人不安が強い人にとっては、話しやすい環境になります。

◎栄養療法

目的:普段の生活の食生活を見直すことで健康な身体へと回復する

対象:成人病(予備軍含む)・食生活のバランスの悪さが体調不良と繋がっている人

内容:健康的な食生活のバランスを知ること・自分の生活と理想的な食生活を比較しながら改善策を考え、実践していくこと 

時間:1時間程度(6回コースなど期限が決まっている場合も多いです) 

特徴:メンタルの不調になってくると、食生活も乱れてくる場合が多いです。暴飲暴食になりやすい人もいますし、今の辛さから現実逃避をしたいことから、アルコールの摂取量が増えるという方も多いです。栄養の偏りが、身体の機能への衰えなどにも繋がっている(こころと身体の不調は繋がっていると考えます)為、現在の食生活の見直しを行っていきます。多くの治療法の中でも、栄養療法による改善は、ご本人の実感に結びつきやすいというのが、私が現場にいて感じられやすいです。

栄養についてのヒントは、うつ病×食事療法(地中海食事療法)も合わせて参照してみてください。

◎運動療法/リラクゼーション

目的:運動やリラクゼーション方法を学び、健康的な身体へと回復する

対象:成人病(予備軍含む)・運動不足やリラックス出来ずに悩んでいる人

内容:運動の効果を知ること・日々の生活の中で取り入れられる運動方法を学ぶ・ヨガなどの手法を含むこころとからだのリラクゼーション方法を生活に取り入れる 

時間:2時間程度 

料金:実費が多いです 

特徴:メンタルが不調になってくると、身体のだるさや重み、やる気の低下などが起きやすくなります。その為、身体を動かす機会が減ってしまいます。家で過ごす時間が増えていくことで、よりマイナスの志向になりやすいと考えられます。現代における成人病の問題とも関係があります。その為、日常に適度な運動習慣を取り入れたり、リラクゼーション方法を知ることを目的に行っています。最近では、ヨガや瞑想、マインドフルネスといった方法に興味を持たれる方もいらっしゃいます。運動習慣は、ジムのインストラクターに相談をすることも出来ると思いますが、メンタルの治療段階に合わせた運動方法を知ることが大切です。あまり、早い段階から無理をせず続けられるような工夫についても一緒に考えることが出来るでしょう

別の記事 ヨガの呼吸法に学ぶメンタルケア もぜひご参照ください。

◎カウンセリング 

目的:カウンセラーと1対1の中で、生活の中で困っていることについて話をすることにより、認知や行動を変化させ、改善を目指すこと

対象:症状改善はもとより、自身の根本的な部分の課題への改善を目指したい人
内容:ひとりでは気が付かなかった、自分自身について気付いていきます。その中で、新たなものの見方や考え方を探し、自らがそれらを用いて主体的に解決に向けて歩んでいけるようになることを目指していきます。

時間:45分~50分程度 

料金:7000円~10000円程度 

特徴:メンタルの不調になる要因は様々ですが、一般的に言われていることでは、環境的な要因や心理的な要因などがあります。環境とは、職場や学校で話をする人がいない/仕事量が多いなど、その方が置かれている状態によるストレスがあること。心理的な要因としては、感じている体験によって、孤独感や自責感、不安など様々なネガティブな情緒体験が影響し、ストレスになっている状態があります。これらの要因についての理解をしていくことによって、自分で対処できる幅を広げていくことが出来ると、こころや行動の安定に繋がると考えられます。先行研究からも、薬物療法のみではなく、カウンセリングを並行して行った患者さんの方が、治療期間は短く、再発率も低いということが言われています。私の専門は個別のカウンセリングを行っていますが、個別のカウンセリングで、自分の過去を振り返ったり今後のことを一緒に考える時間を持ちながら、治療をすることで、今後のアクションを自分で明確にしやすいと感じられる人が多いなと感じます。

詳しく知りたい方は、【重要】メンタルクリニック通院にはカウンセリングをセットする を参照してください。

最後に

メンタルの不調があった際に、お薬を飲む以外にも様々な治療スタイルがあります。その方の目的や状態によって、選択肢も変わってきます。メンタルの治療は、他の病気と比べて右肩上がりに治っていくというよりは、波を打つようにアップダウンがありますし、比較的長い治療が必要になります。その為、お薬を飲むこと以外の時間をどのように使うかはとても重要です。今回ご紹介した方法は一部ですので、主治医の先生にご相談をしながら他の手段も取り入れていくのは良いのではと思います。

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